儚い愛の気持ちを綴ったRADWIMPS『有心論』を読み解く。曲に込められた想いを独自解釈で分析!

RADWIMPSの『有心論』は、彼らの楽曲の中でも名曲として評価される1曲です。ユニークでありながら心に刺さる深い歌詞。それを歌詞を最大限に演出する美しいメロディーと演奏。RADWIMPSらしさが詰まった『有心論』の歌詞について、今回注目してみました。

記事の目次

  1. 1.今や知らない人はいないRADWIMPS
  2. 2.RADWIMPS大ヒット曲の一つ『有心論』
  3. 3.曲に込められた想いとは
  4. 4.まとめ

今や知らない人はいないRADWIMPS

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今回取り上げる『有心論』をはじめ、『おしゃかしゃま』や『ふたりごと』、NHKサッカーのテーマソングとして起用された『君と羊と青』など、さまざまなヒット曲をリリースし続け今や日本を代表するロックバンドとして君臨するのがRADWIMPSです。

2016年には、異例の大ヒットを記録した映画『君の名は。』の主題歌『前前前世』をリリースしてこれまで以上に知名度を上昇させ、幅広い世代にその名が知られることとなりました。

RADWIMPS大ヒット曲の一つ『有心論』

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『有心論』は、ユニークな歌詞に美しいメロディーが特徴の、RADWIMPSにとっての大ヒット曲の1つです。

当時、他のバンドにはないRADWIMPSらしさの詰まったこの曲は非常に印象的で、この曲をきっかけにRADWIMPSのファンになったという人も少なくありません。

また、Mr.Childrenの桜井和寿と音楽プロデューサーである小林武史を中心に結成されたBank Bandがこの曲をカバーし、ライブでも披露するなど音楽界でも非常に評価されている楽曲です。

バンドマンたちのコピー曲としても大人気!

フリー写真素材ぱくたそ

この曲がリリースされた頃には、他の楽曲も含めて学生たちのバンドでもRADWIMPSの楽曲が非常に人気で、バンドマンがコピーすることも多くありました。

音楽センスの溢れるこの楽曲はバンドマンたちにも人気で、自分も一度はこんな曲をやってみたいと気持ちを震わせる魅力のある楽曲なのです。

RADWIMPSの名曲の1つとして知られている『有心論』はもちろん今でもコピー曲として人気が高く、バンド好きであれば絶対に知っているRADWIMPSの楽曲はライブでも披露して盛り上がるので、そういった部分でもコピーして楽しい曲として多くのバンドに演奏されているのです。

キリン「淡麗グリーンラベル」のCMでは桐谷美玲とコラボ

2019年には、キリンの「淡麗グリーンラベル」のCMでRADWIMPSの『有心論』が使用され注目を集めました。このCMでは桐谷美玲さんとコラボ。

桐谷さんがJUKEBOXのボタンを押すと、ボーカルの野田洋次郎さんがアコースティックで『有心論』を弾き語ります。
幻想的な夜に、ゆったりと美しく流れる『有心論』に桐谷さんが涙する。
そんな素敵な演出のCMには歓喜の声がたくさん寄せられました。

幻想的な夜に浮かぶ美しい地球。
そんな演出のCMにぴったりなところからも、この楽曲の持つ美しさを改めて実感させられます。

曲がリリースされたのはいつ?収録されているアルバムは?

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『有心論』は、2016年7月26日にリリースされたシングル曲です。

2006年12月に発売されたアルバム「RADEIMPS4~おかずのごはん~」にも収録されています。
このアルバムには『ふたりごと 一生に一度のワープver.』や『いいんですか?』など、RADWIMPSを代表する人気曲がたくさん収録されており、

彼らがリリースしてきたアルバムの中でも非常に人気の高い作品となっています。

曲に込められた想いとは

出典: https://pixabay.com/ja/photos/%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88-%E9%9F%B3%E6%A5%BD-%E3%83%A1%E3%83%AD%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC-3221097/

“有神論”ではなく“有心論”。
RADWIMPSがこの曲のために作り上げた言葉、そして歌詞にはどんな思いが込められているのでしょうか。

タイトル『有心論』の意味って?

神の存在を主張する“有神論”。

“神”は“有る”という“論”として神を信じるものですが、
では、「有心論」となるとどんな意味になるでしょうか。

読み方は、有神論と同じで「ゆうしんろん」です。

単純に神を心に置き換えれば、心の存在を主張するものとなります。
“心”は“有る”という“論”。

心とは不確かなものように感じますが、自分の中にしっかりその存在を感じられるものです。出会ったこともない神様よりも、常に感じている自分の心の存在を信じる。

そんな『有心論』というタイトルからは、自分の気持ちを大切にしたいという意思も感じられます。

歌詞について

ここからは、『有心論』の歌詞の意味を独自に解釈していきたいと思います。

共感してしまう歌い出し

自分が過去についた嘘というのは、本当のことを言ったときに比べて、罪悪感などから印象に残りやすいものです。

今まで僕がついた嘘と 今まで僕が言ったホント
どっちが多いか怪しくなって 探すのやめた

自分の中の嫌いなところ 自分の中の好きなところ
どっちが多いかもう分かってて 悲しくなった

自分の嫌いな部分も自分にとっては好きな部分よりも目につきやすく、どうしても意識は自分の欠点や嫌いなところに向いてしまいがちです。

だから、自分自身を振り返るとこれまでついてきたたくさんの嘘や、自分の嫌いな部分がたくさん思い浮かんでしまう。

そんな自分自身に対する虚しさは、誰もが一度は感じたことのある感情ではないでしょうか。

どうせいつかは嫌われるなら 愛した人に憎まれるなら
そうなる前に僕の方から嫌った 僕だった

だけどいつかは誰かを求め 愛されたいとそう望むなら
そうなる前に僕の方から

愛してみてよと

人を愛することは、怖いことでもあります。

相手に裏切られることもあるかもしれませんし、嫌われてしまうこともあるかもしれません。
どんなに幸せな日々を過ごしてもいつかは別れが来ますし、誰かを愛するからこそ経験する苦しみや辛さもたくさんあるでしょう。

しかし、本当に心から大切と思える人に出会うことができたとき、人はきっとそうした怖さなどすべて忘れてその人を愛したくなってしまうのです。
主人公は、自ら愛したいと思えるほど大切な人に出会うことができた。
そのことにより、心に変化が起こり、人を愛してみたいと思うことができるようになったのではないでしょうか。

君があまりにも綺麗に泣くから 僕は思わず横で笑ったよ
すると君もつられて笑うから 僕は嬉しくて 泣く 泣く

明日を呪う人間不信者は 明日を夢見る人間信者に
もう昨日を探してた僕はいない いない

大切な人が笑ってくれることが自分にとって涙が出るほど幸せなこと。
そう思えることこそ、どれほど幸せなことでしょうか。

愛する大切な人の存在は「僕」にとって光であり、明日を生きる希望になります。

RADWIMPSらしい愛の伝え方

この曲の中で印象的なのが、愛する「君」の事を歌うキャッチフレーズの部分です。

君は人間洗浄機 この機会にどのご家庭にも一つは用意して頂きたい
こりゃ買わない手はない 嘘ではない

驚くべき効果を発揮します 新しい自分に出会えます
ただ中毒性がございます 用法・用量をお守りください

ユーモアの溢れる表現でありながら、「君」がそばにいてくれることが自分にとってどれだけ嬉しいことか、それがめいっぱい伝わってきます。

”中毒性”という表現から、愛する人の存在は「僕」の心も頭もいっぱいにして、まさに僕のすべてであることがわかります。

大切な人との別れ

この後の歌詞を見てみると、「僕」が愛した人は今はもう一緒にいないことが想像されます。

するとね君は いつでもここに 来てくれたのに もうここにいない

明日を夢見た人間信者は 明日の死を待つ自殺志願者に
3分前の僕がまた顔を出す

大切な人を失ってしまった「僕」は、また暗闇の中に戻ってしまいます。

『有心論』のメッセージ

たとえ大切な人を失ってしまった僕にも、信じられるものが1つだけあるのです。

息を止めると心があったよ そこを開くと君がいたんだよ
左心房に君がいるなら問題はない ない ないよね

たとえ別れる日が来ても、大切な人と過ごした日々さえすべてを失ってしまうわけではありません。

大切な人と過ごす毎日の中で知ることができた人を愛する気持ちや幸せ、そういったものは彼女の存在がなければ感じることのできなかったものです。

だから、たとえ別れてしまっても彼女の存在は自分の中にあり、彼女の存在が自分自身の一部を作り上げているのです。

RADWIMPSが送るラブソング

決して消えることのない大切な人との思い出。
それは自分の血や肉となり、また誰かへの愛へとつながっていく。

この心臓に君がいるんだよ 全身に向け脈を打つんだよ
今日も生きて 今日も生きて そして 今のままでいてと
白血球、赤血球、その他諸々の愛を僕に送る

誰かを愛する心は、確実に自分の中に実感としてある。
たとえ大切な人と別れて、愛したことの形は残らなくてもこの心が証拠になる。
そんな自分の心を信じる歌が、『有心論』なのではないでしょうか。

出会いや別れ、そして愛を歌った切ない歌詞は、誰の人生にも重なります。

今目の前にいる愛する人が、自分自身を作り上げているすべてとは限りません。
『有心論』は、愛する人に贈るラブソングではなく、
もう別れて離れてしまった、愛した人に贈るラブソングなのではないでしょうか。

切ないメロディ

歌い出しのキレイなギターアルペジオと、そこにのせられたポツリポツリと語るようなメロディーに、誰にも共通するような悲しい感情を歌った歌詞です。最初の数秒で、一気に心が奪われます。

サビの力強いストロークと美しいギターの旋律は、星が流れる幻想的な夜空を思い起こさせるようです。
途中に入れられている時計の針の音は、進むことしかなく決して止まったり戻ったりすることのない時間の残酷さを感じさせます。

愛する人との出会いから、その先にある別れまでを彷彿とさせる切ないメロディーが心に刺さります。

まとめ

大切な人とキレイな景色を見たとき、永遠なんてない不安定なこの先を思う気持ちと今一緒にこの景色を見られる幸せな感情が入り混じった切なさを感じることがあります。

この曲は、そんな常に幸せと悲しみに挟まれた不安定な人間の感情を歌い上げているようで、何度もその歌詞やメロディーをかみしめたくなる魅力を持った楽曲です。

2006年にリリースされた楽曲が、2019年にもCMソングに起用される。
そのことからも、この楽曲がどれだけ長い間多くの人に愛され、それだけ時間が経っても色褪せることのない名曲として評価されているかがわかりますね。

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