【DJ】厨二病心をくすぐる?謎のブランドを立ち上げる『DJ honda』とは一体?
黒地に白い"h"のロゴ。このキャップを知らない人はいないでしょう。"DJ honda"は90年代のカルチャーを知る人には常識ですが、あまりに普及しすぎたため、背景知識のない層もいるようです。ファッションブランド"DJ honda"に迫ります。
街でDJ hondaグッズを見たことありませんか?
特徴的な"h"マークがついたキャップやバッグ、財布などを見たこと、一度はあるのではないでしょうか。特に90年代のカルチャーを浴びた世代は知らない人はいないでしょう。当時はみんな、"h"マークの付いたキャップをかぶっていたものです。
これらのグッズは、"DJ honda(ディージェイ・ホンダ)"と呼ばれるブランドのものです。DJ honda氏とは日本のヒップホップ界のDJの先駆け的な存在ですが、オフィシャルサイトにも記載があるように、プロフィールには音楽関係の肩書のほかに「グッズ制作・販売」など実業家としての顔も持っています。ヒップホップ界とファッション界が結びついたのもDJ honda氏の功績が大きいと言われています。
日本ではまだアンダーグラウンドな印象を持たれがちなDJ,しかもヒップホップ。彼の展開するブランドがなぜ巷に浸透したのでしょうか。また、タイトルにあるようにいわゆる「厨二」世代に刺さるブランドとなったのはなぜなのでしょうか。ファッションブランド・DJ hondaに迫ります。
DJ hondaグッズは帽子・財布・パーカーと様々
DJ hondaのグッズというと、まず思い浮かぶのが正面に特徴的な"h"のロゴがほどこされたキャップでしょう。ちなみに、正面は"h"1文字ですが、裏面には"DJ honda"と刺繍されているそうです。
今 dj hondaのキャップ被ってる人 誰も“h”の意味分かってない説 pic.twitter.com/DVguPSxGhZ
— jiyujoho@裏紅白とか (@jiyujoho) December 21, 2019
このキャップ、2014年に放映された「水曜日のダウンタウン(TBSテレビ)」で「今dj hondaのキャップ被ってる人 誰も”h”の意味分かってない説」という「説」が公開されているほど(ファンにとっては不本意かもしれませんが……。)、日本社会に浸透しています。そういえば、クラブにおよそ縁の無さそうなオジサマが着用している姿も街で見かけるような気がします。
そんな、キャップで有名なファッションブランド"DJ honda"ですが、キャップのほかにもシャツやパーカーなどの衣服やスニーカーなどの靴製品、また財布やベルトなど、グッズは多方面に展開しています。
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DJ hondaグッズの産みの親はだれ?なぜグッズを作ったの?
続いて、ブランドDJ hondaの生みの親であるヒップホップDJのDJ hondaこと本田勝裕氏についてご紹介していきます。
日本におけるヒップホップ・アンダーグラウンドシーンの草分け
本田勝裕氏は1980年代中ごろからクラブDJとして活躍していたと言われています。ヒップホップと出逢い1990年には渡米。ニューヨークのNMS(ニューミュージックセミナー)で行われたDJバトルコンテストに初参加。2回目の挑戦となった1992年には同大会で準優勝を獲得します。日本人DJが本場ニューヨークでその実力を認められることは、それまでにない事件でした。
プロフィール写真代わりのキャップ
ニューヨークでの実績を引っ提げて日本で1stアルバム"DJ honda"をリリースします。このときに生まれたのが"h"ロゴのキャップだと言われています。アーティストとしてデビューする際に、プロフィール画像が必要になりました。音楽に専心することを標榜していた本田氏は、顔出し(素顔の露出)に対し積極的でありませんでした。そこで、素顔に代わる「顔」としてあの"h"ロゴのキャップが制作され、それを目深にかぶることによってプロフィール画像が完成しました。
ちなみにあの"h"のロゴはバランスやデザインについて相当練られたものだと言われています。
今日もお昼休みは渋谷道玄坂WREPスタジオより生放送!後半には紅桜とのタッグで話題のレジェンドdj hondaが登場!お楽しみに!#WREP https://t.co/6Ald84quDd pic.twitter.com/adVdVzVpAr
— Zeebra (@zeebrathedaddy) September 17, 2019
アスリートの着用でブレイク
1990年代中ごろ、本田氏の音楽活動とは別の所で"h"のキャップの人気が爆発します。火付け役は当時プロ野球、オリックス・ブルーウェーブに所属していたイチロー選手です。イチロー選手が"h"キャップを愛用していたことでキャップの人気が急上昇し、爆発的に売れたと言います。
本田氏ご本人は「売れないと思っていた」と語っていたそうですが、その思いとは裏腹に90年代ファッションの1つの象徴にまで成長し、最盛期の売り上げは100億円に上ったと言われています。
90年代~2000年代は、DJの音楽界でプレイヤーとしての地位が向上し、それに伴ってトップDJの年収が向上したと言われています。当時の本田氏の年収は明かされていませんでしたが、相当の年収があったものと推測されます。ちなみに、音楽とファッションを強く結びつけるというビジネススタイルは当時メジャーなものではありませんでした。ここにも本田氏の実業家としてのセンスを見ることができます。
DJ hondaグッズはどこで買える?
オフィシャルのショップとしては、本田氏の故郷である北海道札幌市にdj honda Flagship Store / REAL DEALという直営店があります。また、REAL DEALが運営するWEB上の直営店(dj honda Flagship Store (DJホンダ))もあります。CDやLPなど、音楽関連商品をはじめ、象徴的なキャップ、シャツなどの服関連、スニーカーなどの靴関連、アクセサリーなどの取り扱いがあります。変わり種としてはスケートボードのデッキを販売していました(ヒップホップというジャンルを考えると当然なのかもしれません)。
ところで、DJ hondaグッズの重要な点はもう一つあります。
イオンで買える!大衆路線
DJ hondaの販売戦略は、グッズを高額なものにしないで、手の届きやすい価格で提供することでした。その結果、マニアックな音楽ショップどころか、近所のイオンやイトーヨーカ堂(現・セブンアンドアイ)でも購入することができました。そのおかげで、記事タイトルにもあるようにいわゆる厨二世代の若者も、ちょっと頑張れば手に入れることができたのです。手に届く憧れの存在というグッズの位置づけも、爆発的なヒットの要因となったことでしょう。
いわゆる量販店でグッズが販売されていたことに関して、本田氏はあまり関知していなかったそうです。当時本田氏はアメリカに活動の拠点を移しており、周囲の人が「○○で売っているけどいいの?」と心配の声をかけても当人はそれがどんなお店かどうかわからなかったという逸話が残っています。
また、当時まだアンダーグラウンドだったヒップホップDJのグッズが野球選手というメジャーな存在によって大衆化し、量販店で売られるようになったことを理解してからも、本田氏は難色を示さず、以下のようなコメントを残しています。
「いいじゃん。それがきっかけで、音楽を知ってもらえれば。(後略)」
このコメントに、「すべては音楽のために」という本田氏=DJ hondaの理念を感じ取ることができます。また、多少のことは気にしないという懐の深さも見て取れます。
余談・なぜ小文字?
DJ hondaというDJとしてのネーミングについて、デビュー当時一目見て本人の出自(国籍)が分かるようなネーミングは珍しかったそうです。ところで、なぜDJ HONDAではなくてDJ hondaなのでしょう。
これについては先に世界進出していたHONDA(本田技研工業)と同じになるのを避けたという話が残っています。世界的企業であるHONDAとの「カブり」を避けるという視点自体、本田氏の目が世界を向いていたことを表している、そんなエピソードと言えるでしょう。
DJとしての活動
マルチに活躍しているDJ honda 本田勝裕氏。DJとして、現在も精力的に活躍をされています。世間ではファッションの方で認知をされた感のあるDJ hondaですが、先ほど引用したコメントにもあるように彼はその先を見ています。
日本の音楽界(クラブミュージック界)の牽引者として今も活躍中のDJ honda。ファッションとしてのDJ hondaブランドをきっかけにして彼の音楽に触れる機会が生まれること、DJ hondaの音楽が世界に広がっていくことを願ってやみません。