【DJ】世界を魅了!日本を代表するDJ KRUSHの魅力に迫る

日本が世界に誇るHIPHOPアーティスト、DJ KRUSH。自身のオリジナルアルバムをリリースしながら、国内外の大物アーティストのリミックスでも高い評価を得ています。今回は世界を股にかけて活躍するDJ KRUSHについてまとめてみました。

記事の目次

  1. 1.DJ KRUSH(クラッシュ)とはどんな人物?
  2. 2.DJ KRUSHが世界を魅了する理由
  3. 3.DJ KRUSHを代表する名曲
  4. 4.DJ KRUSHにさらにハマりたい人におすすめのアルバム
  5. 5.【番外編】初心者向け用語解説

DJ KRUSH(クラッシュ)とはどんな人物?

Photo by stevenhoward1984

あなたはDJ KRUSHをご存知ですか?彼の歩んできた軌跡は、日本のHIP HOPの軌跡と言っても過言ではありません。一体どんな人物なのでしょうか?

DJ KURSH(ディージェイ・クラッシュ)本名は石 英明。1962年東京生まれですから、現在は57歳になります。

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1982年に公開された『ワイルド・スタイル』というアメリカのHIP HOP映画を観て衝撃を受けた、若き日の石 英明はそこからヒップホップにのめり込みます。当時は今のようなDJ機材はなく、大きなミキサーに自作の装置をつけてDJをしていました。

80年代の後半には今は無き原宿、ホコ天でストリートでDJプレイを披露していました。その頃にMUROやDJ GO等と知り合い、KRUSH POSSE(クラッシュ・ポッセ)を結成します。このユニットは当時の日本のアンダーグラウンド・ヒップホップの世界において大きな影響力がありました。

彼らは様々なコンテストやイベントに参加し、強烈なインパクトを与えていました。日本で初めて、ターンテーブルを楽器のように使ったのが、このDJ KRUSHでした。

残念ながらアルバムなどは制作されないまま解散してしまっているので、音源は残っていませんが、動画などで彼らのパフォーマンスを見る事が出来ます。

チェインギャング/クラッシュ・ポッセ

グループ解散後はソロのDJとして、自分一人で表現できる世界を模索し、たくさんの独創的なトラックを作りました。

彼の作ったトラックは、海外のMo'Wax(モ・ワックス)というレーベルのディレクターの耳にとまり、話題を呼びます。その後1994年にはファースト・アルバムとなる『KRUSH』をリリースします。

その後、今までに8枚のオリジナルアルバムや4枚のリミックスアルバム、さらには3枚のミックスアルバムをリリースし、世界的な評価を受けています。

ジャズ界の帝王・マイルス・デイビスやハービー・ハンコック等錚々たるアーティストのリミックスや作品に参加するなど、そのワールドワイドな活躍ぶりはまさに、日本が世界に誇るDJの一人といって良いでしょう。
 

DJ KRUSHが世界を魅了する理由

Photo by edicko

そんなDJ KRUSHの魅力はどんなところでしょうか?KRUSH POSSEで活動していた頃は、「本場のヒップホップに近づきたい」「本物のヒップホップの美学」グループとしてそういったものを大切にしていたそうです。

しかし、DJ KRUSH自身は「ヒップホップのなかにある自由さ」に魅力を感じていました。本場に近づけようとしても、どうしても本場には勝てない。しかし、その中に自分にしか出せないもの、その人なりのオリジナリティがあれば、勝負出来るのではないか、そんな風に考えていたそうです。

他の二人とは少し価値観が変わってきた事を感じ、グループを解散させ、ソロのDJとして自身の世界を構築していった彼の視線の先は、すでに日本の外にありました。

かといっても、いきなり本場のアメリカでは勝負出来ない。そう考えたKURSHはまず間口の広そうな、ヨーロッパに目を向けました。

トラックを作り、デモテープを各所に送っていたところ、MO'WAXのジェームス・ラヴェルに気に入られ、イギリスのアンダーグランドシーンから注目を集めます。そうして1994年には、待望のソロアルバムをリリースする事になります。

DJ KRUSHのトラックにはどこか日本の雅(みやび)やわびさびを感じさせるものが流れていて、それが海外のリスナーには新鮮に聴こえたのではないでしょうか。

自分のスタイル、日本人である事の誇りとプライドを持ち、ユニット時代から定評のあった圧倒的なテクニックと、独特なセンスをさらに進化させたDJ KRUSH。

聴くものをその世界に引き込んでしまう彼のサウンドは、魅力にますます磨きをかけていったのでした。



 

DJ KRUSHを代表する名曲

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ここでは、DJ KRUSHの代表的な楽曲をご紹介していきます。

Kemuri

雅を感じます。『Kemuri』は1994年に『LOST &FOUND』のカップリング曲として、また1995年にリリースされたセカンドアルバム『STRICTLY TURNTABLIZED』にも収録されている楽曲です。このセカンドアルバムは残念ながら現在では廃盤となっていますが、この『Kemuri』は得意とするレコードスクラッチを絶妙に効かせ、独特のビートにどこか和風を感じさせる、笛のような音色が上手くハマった初期の傑作です。

CandleChant/DJKRUSH &BOSS

『Candle Chant』は、ザ・ブルーハーブのBOSSとの共作です。2001年にリリースされた、オリコン最高66位を記録した6枚目のオリジナルアルバム、『ZEN』に収録されています。

A-Twiceという名前で活動していたラフラ・ジャクソンというラッパーがいました。ジャズ・ベーシストのポール・ジャクソンと日本人の母親をもつラフラはDJ KRUSHや、ブルーハーブの大ファンで、彼らに手紙やデモテープを送っていました。

ある日、DJ KRUSHのもとにラフラの母親から手紙が届きました。実はラフラは癌に冒されていて、尊敬する貴方に会いたがっているというものでした。

そこでDJ KRUSHはラフラに会いに行き、音楽の話などをして『元気になったら一緒に何かやろう』と、握手をしたそうです。ラフラには癌の事は隠されていました。

そして彼の死後、親交のあったブルーハーブのBOSSに、あるラッパーへ追悼の楽曲を作りたいといわれ、そこで初めてBOSSもラフラの病室を訪ねていた事を知ったのでした。

そうして出来たこの『Candle Chant』は、若くして亡くなったラッパーに捧げた、渾身の一曲となったのです。

Duality/DJKRUSH

『DUALITY』は、1995年にリリースされた3枚目のアルバム『MEISO(迷走)』に収録されているナンバーです。この『MEISO』は全英チャートの64位にランキングされるという、日本のDJとしては快挙を成し遂げています。

ちょうどその頃、アメリカの西海岸ではDJ SHADOWらが同じようなムーブメントを起こしていました。この流れはマッシブ・アタックやポーティス・ヘッドなどに代表される(本人達はこう言われる事を嫌がっていますが)、90年代前半にイギリス・ブリストルで発祥した『トリップ・ホップ』からきています。

この『DUALITY』は、DJ SHADOWとの共作で、ドープなビートにちょっとしたウワモノが乗っかってくるという曲なのですが、リズムパターンが少しずつ変化していくので、何か台詞のないロードムービーでも観ているような気持ちになります。

DJ KRUSHにさらにハマりたい人におすすめのアルバム

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30年近くシーンの第一線で活躍する大ベテランである彼は、インタビューの中で『日本のヒップホップも成熟してきた』と語っています。

日本、いや世界のクラブシーンを牽引し続けるDJ KRUSHの楽曲に興味を持った方には、是非アルバム通して聴いてみる事をお勧めいたします。

『KRUSH』(1994年)

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これからDJ KRUSHを聴いてみよう!という人には、まず彼の原点である、ファーストアルバムから聴くことをお勧めいたします。

まだ機材的にも今ほど充実してはいなかったと思いますが、それだけに彼の研ぎ澄まされたセンスと息づかいが感じられる、初期の傑作であると思います。

こだま和文やマンディ満ちるなどの、ゲストによる演奏とそれに応えるDJプレイも必聴です。

【番外編】初心者向け用語解説

Photo byThorstenF

DJやヒップホップで使われる用語について、その意味を解説していきましょう。

メジャーフォース

現在、活躍しているクリエイターやアーティストに様々な影響を与えているであろうメジャーフォース。

今から30年ほど前に東京で始まった、元々はヒップホップのレーベルの事です。中心となったのは中西俊夫、工藤昌之、ドラマーの屋敷豪太、そしてラッパーの高木完とプロデューサーの藤原ヒロシという錚々たるメンバーです。

ここからタイニー・パンクスや初期のスチャダラパーなどがリリースされ、日本のヒップホップの創成期に大きな影響を与えました。

スクラッチ

スクラッチは『かすり傷』とか『ひっかく』という意味で、転じてレコードを手で回して、針の擦れる音を音楽の一部として使用する、有名なDJテクニックの一つです。

スクラッチには使いやすい音源や、逆に使い方が難しい音源があり、スクラッチに適した音源がまるまる一枚のレコードになった『バトルブレイクス』と呼ばれるものもあります。
 

ディスクジョッキー

ディスクジョッキー、略してDJは大きく分けて、ラジオで情報を発信する人と、クラブなどでターンテーブルを回す人に分けられます。

クラブの方は2台かそれ以上のレコードプレイヤーやCDプレイヤーを使い、ミキサーを調整しながらテンポやキーを調節して音を繋ぎ、その場で新しい音を作り出す人の事です。

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