トランペット吹きは、まずは運指をマスターしろ!基本の練習方法ご紹介

トランペットは、(1)3つのピストンの押さえ方の組み合わせと(2)唇と息のスピードの組み合わせで音を変えます。(1)のピストンの押さえ方のことを運指と言います。運指は初・中級者にとっの壁となります。この記事ではトランペットの運指と練習法を紹介します。

記事の目次

  1. 1.トランペットを始めたけどなかなか上達しない。。
  2. 2.ピストンで音が変わる仕組みとトランペットの運指表
  3. 3.トランペットの練習の基本は運指!練習方法ご紹介
  4. 4.トランペットの練習方法まとめ

トランペットを始めたけどなかなか上達しない。。

トランペットを吹くときに音を変える方法は2種類あります。

  1. 唇の強弱と息のスピードで倍音を出す。
  2. ピストンを押して管の長さを変える。
この2つの方法の組み合わせでトランペットは音を変えていきます。
この記事で話題にするのは上記2のピストンで音を変える方法です。

トランペットを吹く人の、特に初心者~中級者にとって運指(指使い)は1つの鬼門です。基本が押さえられていないことによって伸び悩んでしまうことがしばしばあります。そもそも、初心者の方にとっては3つしかないピストンでドレミファソラシドを吹くこと自体が不思議なことでしょう。

この記事ではトランペット初心者のそういった悩みに対して、主に運指の面からアドバイスをしていきます。

Photo by exoimperator

ピストンで音が変わる仕組みとトランペットの運指表

トランペットには通常3つのピストン(バルブ)がついています。ちなみに、原始的なトランペットにはピストンはついていませんでした。ですからその頃は音階の全ての音が出せるわけではなく、出せる音は限られていました(もしくは出せる音の間隔が狭まる非常に高い音域を用いてメロディを吹いていました。クラリーノ奏法と言います)。

クリックすると楽天商品ページへ飛びます

19世紀に入ってトランペットにピストンが導入され、その後改良が重ねられて現在のトランペットが出来上がります。まれにピストンが4つついているものもありますが、基本的には3つのピストンを使って音を作っていきます。

Photo by kohrogi34

一般的にピストンは、マウスピースに近い側から順に1番、2番、3番と呼ばれます。3つのピストンにはそれぞれ「抜き差し管」と言われる管がついています。ピストンを押すと、抜き差し管を経由して息が流れることになるため、全体の管の長さが長くなります。管が長くなると音は低くなります。この原理を利用してトランペットは音を変えているのです。

抜き差し管の長さはそれぞれ異なるので、押さえるピストンによって音の下がり方が異なります。

  • 1番ピストン…1音(全音)分下がる。
  • 2番ピストン…0.5(半音)下がる。
  • 3番ピストン…1.5音分下がる。
あとは足し算です。例えば1番ピストンと2番ピストンを同時に押さえれば1+0.5=1.5音分、3つ同時に押さえれば1+0.5+1.5=3音分音を下げることができます。

トランペットの運指表

音が変わる仕組みが分かったところで、今度はどの音がどの指なのかを知らなければなりません。そこで活躍するのが「運指表」です。初心者のうちは運指表を見てピストンの押さえ方を調べ、覚えていきます。

トランペットの練習の基本は運指!練習方法ご紹介

この節ではトランペットの運指に関わる練習方法を紹介していきます。

ピストンの押し方

練習の前に、最も基本となるピストンの押し方について紹介します。
複数の教則本を見ると、ピストンの押さえ方として、2種類の説明があるようです。

  1. 指を立てて指先で上から押す。
  2. 指の腹を使って押す。
プロの奏者の演奏を見ると、奏者によってどちらの方法も使われているので、どちらが正しい・間違っているということは無さそうです。重要なのは無駄な力を使わずに、ピストンをまっすぐ押せることです

もう1つ重要なことがあります。それは、中途半端に押してはならない、押すときは素早く一番下までピストンを押し込むことです。素早くピストンを押さえることはスムーズに音を切り替えることにつながります。「押す」のではなく「叩け」というアドバイスも有名です。

特に、テンポを落として練習をする時やそもそもゆっくりのテンポの曲を吹くときなどに起きる現象なのですが、テンポや曲の調子に影響されて指の動きまでゆっくりになってしまうことが良くあります。ピストンの押し込みがゆっくりになると、2つの弊害があります。1つ目は音の切り変わりが緩慢になり、テンポから遅れていくこと。2つ目は抜き差し管に息がスムーズに入っていかなくなり、いわゆる「ハーフバルブ*」の状態で音が出ることです。

*ハーフバルブは存在する技法ですが、「スムーズに音を切り替える」というここでの目的とは異なります。

テンポはゆっくり、切り替えは早く

運指の練習というと、つい複雑で細かい練習曲を速いテンポで吹くことが効果的であるように思ってしまいがちですが、運指の基礎を習得する段階では無理が生じるため効果的であるとは言えません。

音階なら音階、簡単な練習曲でも良いですが、楽に出せる音域の中で確実に(素早く)音を切り替えることだけを意識して運指の練習をします。そのためには練習する曲や音階のテンポを落とすことが有効です。しっかりとピストンが押さえられたことを確認してから息を入れていくと良いでしょう。

音を出さなくても運指の練習はできる

運指の練習は、とにかく確実にピストンを押さえることが重要になってきます。ここにほかの要素(音を出す、タンギングをするなど)が入ってくると、他のことに気を取られて運指への意識がおろそかになるおそれがあります。そこで、指だけを使って運指の練習をする方法を紹介します。

上の動画をご覧ください。これは、運指の最も基礎的なトレーニングと言えるでしょう。音を出さず、息も入れずにただ指をピストンに乗せて動かしています。動画では20通りの押さえ方が紹介されていますが、パターンによって難易度が異なることがお分かりいただけると思います。動画のパターン7や、14、17は他と比べて苦しそうです。いずれも、3番ピストン(薬指)が関与するパターンです。3番ピストンを押さえる薬指はほかの人差し指・中指と比べて力が弱く、また、他の指と連動させて動かすのが難しいです。まずはゆっくりのテンポから初めて、どの指も楽に動かせるようになることを目指すことをお奨めします。

また、応用編として、曲の練習をする時に音を出さずに指だけを動かすのも練習になります。そして、指の動きがスムーズになったらそれに舌の動き(タンギング)を加えたり、歌や口笛でメロディを出しながら指を動かすなどのバリエーションを加えていきます。バズィングをして音を出すとどうしても出てくる音に気を取られるので、バッサリと引き算をして練習をするのも一つの方法です。

運指のための練習曲

基礎的なトレーニングを積んで、ある程度運指が身についてきたら、教則本に載っている、いわゆる練習曲にトライするのも良いでしょう。ただし、これまでに書いた原則を忘れないようにしましょう。

  1. 確実にピストンを押さえられるテンポから始める。
  2. 舌(タンギング)より指の方が先(押さえてから音を出す)。
  3. 指の練習であることを忘れない。
とくに3点目が重要です。唇を鍛える練習、舌を鍛える練習、指を鍛える練習…練習には目的があります。今何を目的にしているのかを絶えず意識し、その点に集中できる練習ができればより効果的な練習と言えるでしょう。

トランペットの練習方法まとめ

トランペットのピストンの仕組みからピストンの押さえ方、練習方法までご紹介しました。トランペットの運指に関する練習のポイントを最後におさらいします。

  1. ピストンをまっすぐ確実に押さえる。
  2. 素早く音を切り替えるために素早く押す(「叩く」)。
  3. ゆっくりテンポで指の切り替えに集中する。
  4. 指だけの(音を出さない)練習を取り入れる。※薬指強化!
  5. 目的を忘れずに練習に臨む。
今回は「運指」にフォーカスをしましたが、もちろん、トランペットの基礎的な要素としてバズィングや、呼吸法、タンギングなど、音楽的な要素としてフレージングやアーティキュレーションなど練習する項目は様々あります。それらの項目についても、それぞれ基礎的なトレーニングがあります。5.で挙げた、「目的を忘れない」練習を重ねて、賢く上手くなっていきましょう。

関連記事

Article Ranking