【バイオリン】ストラディバリウスとは?世界一と言われる名器についてご紹介!
この記事は、世界一と名高いバイオリン「ストラディバリウス」について紹介する記事です。17-18世紀にイタリアで作られ、現在も世界中で人気のストラディバリウスの歴史やバイオリンの特徴、世界最高級と言われる所以をご紹介します。
ストラディバリウスとは
ストラディバリウスとは、17-18世紀にイタリアのクレモナにあるアントニオ・ストラディバリ(Antonio Stradivari)とその息子(フランチェスコ、オモボノ)の3人で作られた弦楽器のことを言います。
その中でもバイオリンは最も多く製作された楽器で有名です。
ストラディバリの工房ではバイオリン以外にもチェロ、ヴィオラ、マンドリンなど他の弦楽器も作られていました。
これらの弦楽器はストラディバリの名前から、ストラディバリウスと名付けられました。
また、ストラディバリウスの楽器にはAntonius Stradivarius Cremonenfis(クレモナのアントニオ・ストラディバリ製作した)という意味のラベルが貼られています。
そんなストラディバリウスの時代ごとの歴史や特徴をご紹介します。
ストラディバリウスの歴史
ストラディバリウスは1666-1730年の間に全部で約1300挺製作されています。ストラディバリのバイオリンは下記の4つの時代で分けることができます。
- 初期
- 挑戦期
- 黄金期
- 円熟期
17-18世紀に作られていたものなので、600挺も残っているのはかなり多い方だと言えます。
ストラディバリウスは時代によって音色やフォルムも少しずつ変化しており、そこも魅力のひとつです。
1666年代に作られたバイオリンは「Serdet」と呼ばれ、ストラディバリの初期のバイオリンです。初期に作られたバイオリンにも関わらず、ストラディバリウスの形がこの段階ですでに完成されています。
挑戦期に製作されたストラディバリウスは「Ex-Jenkins」など、少し小型(350mm)になったバイオリンです。小型なバイオリンになったため、音量はあまりでませんがその分繊細な音色を表現できるようになりました。
1700年以降の黄金期には標準サイズのバイオリンに戻り、多くのバイオリンを製作しました。「Da VinciやMarquis de Rivière」などが代表的です。
円熟期には、黄金期よりかは少し劣る部分があるものの、数々の著名人に愛用されていました。「Maurin, Rubinoff」は有名なバイオリンニストのデビッド・ ルビノフが生涯手放さなかったほどです。
ストラディバリウスのすばらしい音色の仕組みを解明するべく、今までに数々の実験もされてきましたが、現在もはっきりとした科学的証明はできていません。
そのれらのことも相まってストラディバリウスには300年以上人々を魅了する不思議な魅力があると言えます。
ストラディバリウスが世界一の最高級バイオリンと言われる理由
ストラディバリウスが世界一の最高級バイオリンと言われる理由は、音色が深く音が強い高品質なバイオリンだからです。
バイオリンは市民革命後の16世紀始め頃に現在の形になり、市民に普及しました。この時期から音楽家が増えたことによってバイオリンの需要が急増し、各社バイオリンを大量生産していました。
しかしストラディバリは量より質にこだわったバイオリンを追求しストラディバリウスを完成させました。
そのため他のバイオリン工房と比べ数が少なく、希少価値が高いことも最高級なバイオリンになった所以です。
また、当時のバイオリンは室内音楽用に作られており、音が小さかったり大量生産していたため、質が良くなかったものが多くありました。しかしストラディバリウスは圧倒的に音色が良く、コンサートなどでも通用する音が出せました。
ストラディバリウスはニスや木材などのバイオリンに使用される材質からこだわって作られています。
ボディの部分にはスプルースという木材が使用されていて、寒冷な気候のヨーロッパでは品質の高いスプルースが取れました。スプルースを使うことによって、すばらしい音色が演奏可能になりました。裏板にはシカモアが使用されていました。
スプルースは木を切ってから約330年後に強度が最も良いと言われています。このためストラディバリウスは現在も音色が良く愛用者が多い理由だと考えられています。
そのことから、ストラディバリウスは見た目も美しく芸術品としての評価も高いです。音楽家意外にも数多くのファンやコレクターがいて、数億円を超える額で取引されているため、世界一高い楽器と言われています。
最も高額で取引されたバイオリンのストラディバリウスは2011年に約12億7000万円で落札された「Lady Blunt」です。
また、製作数が少ないことから、ヴィオラやチェロなどの他の弦楽器は、バイオリンよりも高い値段で取引されています。
こちらが実際のストラディバリウスの音色です。
ストラディバリウス所有者
ストラディバリウスの所有者やコレクターは世界中に大勢います。
日本人で有名なストラディバリウスの所有者として千住真理子がいます。
彼女は、当初値段の高さからストラディバリウスを購入する意思はなかったものの実際にストラディバリウスを試奏してみると、一気に虜になり購入にいたりました。
このことは本にもなっており、「千住家にストラディバリウスが来た日」で読むことができます。
その他には、高嶋ちさ子や日本音楽財団など自己所有なども合わせて日本では約40挺があると言われています。
海外の著名なストラディバリウスの所有者には、バイオリニストのジャック・ティボーや、同じくバイオリニストのミッシャ・エルマンなどがいます。
また、ストラディバリウスには世界中に多くのファンや所有者がいたことから、それぞれに愛称があります。
千住真理子のストラディバリウスは「デュランティ」、高嶋ちさ子のストラディバリウスは「ルーシー」の愛称があります。
まとめ
以上、今回は世界一の名器ストラディバリウスの歴史や所有者、最高級と言われる理由をご紹介しました。
ストラディバリがこだわって作ったストラディバリウスには名立たる音楽家、コレクターが現在にも多く存在します。
是非機会があれば、ストラディバリウスが使用されているコンサートなどへ実際に行ってみて、他のバイオリンとの違いを聞き比べてみてください。