【あいみょん】官能的な歌詞で虜にする『満月の夜なら』。曲に込められた思いを徹底考察！

2018年4月29日にリリースされたあいみょんの4thシングル『満月の夜なら』。

この楽曲について本人は「性愛のテーマを越えていくタフでロマンチックな音楽」であるとコメントしており、男性目線の官能的な歌詞が反響を呼びました。

歌詞の濃密さとは対照的とも言える軽やかなギターのストロークが心地よく、それによって大人の音楽としての官能というよりは、青春を思わせる雰囲気が漂う眩しくて尊い楽曲に仕上がっています。

『満月の夜なら』のアレンジを手がけたのは田中ユウスケ。

田中ユウスケといえば、YUKIの『JOY』やいきものがかりの『じょいふる』など数多くのヒット曲を手がける人物で、これまでにデビューシングル『生きていたんだよな』や『君はロックを聴かない』、『愛を伝えたいだとか』などのあいみょんの代表曲のアレンジも数多く手がけています。

『満月の夜なら』はあえてシンプルなアレンジにすることで、より歌詞を聴きやすくするという意図があったようです。

その狙い通り、シンプルなギターのサウンドによって、アダルトな雰囲気の世界観にいい意味で飲み込まれ過ぎず、爽やかなサウンドだからこそピュアな性愛が描かれた歌詞をより深く味わうことができる作品となっています。

『満月の夜なら』は、決定的な表現が出てこないからこそ妄想を掻き立てるような歌詞が特徴で、下品ではない日本語の表現としての美しさが感じられます。

歌い出しから、なんだか官能的なシーンを思い起こさせる歌詞にドキッとしてしまいます。

「ぬるくなったバニラ」という表現からは、ただ自然にアイスが溶けただけではなく、アイスが溶けてぬるくなるほど2人の体温が高い様子なども想像できます。

甘い雰囲気をイメージさせる言葉が「バニラ」であることから、ただ甘いだけでなく濃密さも感じさせてくれます。

「やばい」という、思わず漏れ出たような本音がリアルな雰囲気を演出しています。

「白」と「ピンク」という色の表現からは、女の子の真っ白な肌がピンクになるほど火照っている姿が思い浮かぶようです。

”溶かす”や”潤す”といった柔らかい言葉選びや「あげたい」という表現からは「僕」の愛情が感じられます。

ただ色っぽいアダルトな表現をしているだけではなく、官能的な純愛が描かれているようにも思えるのです。

「優しく教えるよ」と男らしくリードする様子を見せながらも、「繋いでいて」や「離れないでいて」とかわいらしさも見えるのが素敵ですね。

満月の夜には狼男が狼になる伝説なども有名ですが、満月の日は人間の性欲が強くなるとも言われています。

月の白い光が輝く夜は、なんとも神秘的で、官能的な美しさを感じさせるイメージもあったりもします。

『満月の夜なら』に描かれている世界観は、まさにそうした神秘的で尊いもののように感じます。

この曲の歌詞で描かれている「性愛」とはただの行為などではなく、主人公である「僕」にとっての最大の愛情表現であることが歌詞から伝わってくるのです。

意味深なフレーズといえば、歌詞だけでなくそもそもタイトルもなんだか含みがあって気になる表現となっています。

『満月の夜なら』、いったい何なのか。

これは、主人公の願望が詰まった一言なのではないか、と私は想像しました。

『満月の夜なら』僕も狼になって君を男らしくリードできるのに、とか、官能的なムードを作り上げる『満月の夜なら』君とこんなふうに神秘的で幸せな時間を過ごせるんじゃないだろうかとか、主人公が想いを寄せている｢君｣への気持ちが込められているように感じられるのです。

よく見ると、Bメロの歌詞はすべて「もしも」という仮定の言葉から始まっており、主人公の妄想が描かれた歌詞なのかもしれません。

でもだからこそ、アダルトな世界観の中にどこかピュアな雰囲気が感じられるのではないかとも思うのです。

満月の夜に広がる夢みたいな世界。

『満月の夜なら』の歌詞には、純粋な恋心がこじれて暴走した脳内が描かれているようにも感じられるのです。

満月と言えば、9月の中秋の名月が思い浮かびます。

この中秋の名月というのは実りを祈ったり、実りに感謝したりする意味が込められているとも言われており、『満月の夜なら』の歌詞に登場する主人公の純粋な思いもどうか実ってほしいと祈りたくなります。

インディーズデビュー曲である『貴方解剖純愛歌〜死ね〜』は、女の子の愛をどストレートすぎる歌詞で表現し、話題となりました。

一方今回の『満月の夜なら』の歌詞はそれとは真逆で、ストレートには言わずにすべての表現に含みを持たせたものとなっています。

あいみょんといえば歌詞のセンスが非常に評価されていますが、こういったところを見てもその作詞センスの振り幅の広さがわかります。

1995年生まれのあいみょんは、現在24歳。

この若さですでに飛び抜けたセンスを発揮してファンを魅了し続ける驚異的な存在です。

あいみょんの音楽といえばどこか懐かしさを感じさせるメロディーなども特徴となっていますが、
これからさらに年齢を重ねていくあいみょんがこれからどのような進化を遂げるのか、彼女のこれからが楽しみでなりません。