あいみょん『今夜このまま』に込められた想いとは。。等身大ラブソングを深堀る

人気急上昇のアーティスト「あいみょん」のシングル曲『今夜このまま』を徹底解剖します。この曲を題材に、「彼女の魅力」と「等身大ラブソング」に秘められた意味を音楽と歌詞から分析します。

記事の目次

  1. 1.あいみょんの人気曲の一つ「今夜このまま」
  2. 2.ドラマ「獣になれない私たち」の主題歌にも起用された
  3. 3.メジャー2ndフルアルバム「瞬間的シックスセンス」に収録
  4. 4.アルバム「瞬間的シックスセンス」から読み解くサウンドの解剖
  5. 5.あいみょんの「魅力」と「ブレイクの理由」
  6. 6.まとめ

あいみょんの人気曲の一つ「今夜このまま」

曲に込められた想いを独自解釈

等身大のストーリー展開

この曲はドラマ「獣になれない私たち」の主題歌としてタイアップの話をもらって書かかれた曲です。アルバム『瞬間的シックスセンス』にも入っています。

あいみょんのこの曲はドラマの台本を読み、その世界観を理解し、曲作りを行っています。人気のこの曲から彼女の世界観を探っていきます。

人気アーティストあいみょんは作詞・作曲をするシンガーソング・ライターです。彼女が書く歌の世界は女性にありがちな、「可愛いらしい恋愛の世界」ではありません。むしろ「男っぽい」と言うか「むき出しの思い」をそのまま歌詞として吐き出すタイプの作詞家だと思います。

主題歌「今夜このまま」は、少し「あいみょんの世界観」からは一歩引いて、「あいみょん視点」でのドラマの世界を表現した主題歌となっています。

ここでは主題歌「今夜このまま」の歌詞の意味を中心にふかぼりしていき「あいみょんワールド」とは何か?に迫っていき、その人気を探りたいと思います。
 

誰しもが覚えのある、切ない恋心

Photo bywaldryano

ドラマの主題歌と言う事で「あいみょん感」は控えめな歌詞ですが、描いている心象風景は、あいかわらず「むき出し感」が満載です。誰もが恋愛をすると感じる「ほんとうの自分」と「二人の関係から振る舞う自分」との間で揺れ動く恋愛の切なさが見事に歌詞に表現されています。現実と「自分の思い」との食い違いの「やるせない」感情は誰しも経験がある事だと思います。そんな内容が歌詞の意味するところだと思います。

そういう意味でこの曲はドラマ「獣になれない私たち」の世界観を表した「主題歌」として上手く機能していると思える作品です。
 

「今夜このまま」の歌詞をふかぼり

「やるせない」思いとは。。その意味について考察する

 日毎につのる恋心。二人の関係の中で自分だけ「恋心」が膨らんで行き、現実とのギャップに感じる「やるせない」気持ちが伝わってきます。本当は二人の恋愛を成就させて、「この思いを全部受け止めてもらいたい」と言う気持ちが溢れています。でも現実はそれが出来ない二人の関係が「やるせない」思いを募らせていくんだと歌詞から意味を読み取れます。
 

「アレください」って何だろう?

Photo byRepublica

歌を聴いてると、どうしても”とりあえずアレください”って言葉の意味が気になります。歌詞の文字で見ても、歌詞として歌われる言葉としてもです。皆さんはどういう想像を持って聴いているででしょうか? 

ここが正に「あいみょんワールド」なんだと思います。「アレ」って文字にしちゃうと「官能的」なあっち関係にも思えます。でも冷静にBarで「とりあえずアレください」と言えば「ビール」だと思います。ここは「歌詞の意味は、どうぞご自由にって」言う、あいみょんからの「官能的プレゼント」だと解釈してます。

もうちょっと堪能的な意味を求めるなら、アルバム『瞬間的シックスセンス』に収録の『夢追いベンガル』が良いと思います。はっきり言ってくれてます。
 

ドラマ「獣になれない私たち」の主題歌にも起用された

このドラマで出てくるシーンにBarがあります。クラフトビールバー『5tap』というお店です。Barですからお酒を飲みながらのシーンが多くなります。あいみょんは主題歌「今夜このまま」の曲中では”今夜”、”泡”、”アレください”という歌詞を織り交ぜて、何かを”飲み込んで”います。

その歌詞の意味するところは、まさにドラマの「お酒」のシーンと主人公の二人の恋愛を見事にイメージさせています。主題歌としてピッタリな風景が歌詞に描かれています。

「お酒」と一緒に「思い」も飲み込んじゃうし、”火照らせる"ってのは「酔い」の勢いでしょうか、若干このあたりの意味が、やや官能的な「あいみょん感」を織り交ぜているのかもしれません。

大人の世界のドラマなので、「お酒」と「やるせない」思いは仕事と恋愛と現実のギャップに思い悩むというのは、いつの世も変わらないものです。

まさに歌の歌詞にある”行かないでって”言う思いをしまい込んで生きる大人たちは「やるせない」事ばかりなのです。

この主題歌「今夜このまま」で歌われている世界はまさに「獣になれない私たち」を代弁した「やるせない」思いと「お酒」の世界を見事に写し出していると思います。

この調子でまた、あいみょんに主題歌の依頼が来たりするかもしれません。

 

メジャー2ndフルアルバム「瞬間的シックスセンス」に収録

「今夜このまま」他。「満月の夜なら」など、シングルリリース曲を含む12曲を収録

『瞬間的シックスセンス」のアルバム収録曲は以下の通りです。

【タイトル】   【編曲】
1.「満月の夜なら」    近藤隆史、立崎優介田中ユウスケ    3:25
2.「マリーゴールド」立崎優介、田中ユウスケ    5:06
3.「ら、のはなし」    トオミヨウ    3:01
4.「二人だけの国」    関口シンゴ    4:31
5.「プレゼント」     関口シンゴ    4:17
6.「ひかりもの」     トオミヨウ    3:49
7.「恋をしたから」    関口シンゴ    4:29
8.「夢追いベンガル」トオミヨウ    4:41
9.「今夜このまま」    近藤隆史、田中ユウスケ    3:58
10.「あした世界が終わるとしても」立崎優介、近藤隆史、田中ユウスケ    4:22
11.「GOOD NIGHT BABY」関口シンゴ    5:30
12.「from 四階の角部屋」會田茂一    1:38

本作には、シングル3枚のタイトル曲、オリジナル長編アニメ『あした世界が終わるとしても』の挿入歌、主題歌として書かれた「ら、のはなし」と「あした世界が終わるとしても」などを含む全12曲を収録しています。

人気曲の『今夜このまま』を含む先行シングル3曲と主題歌タイアップ2曲の計5曲は既発曲で、残り7曲がアルバム『瞬間的シックスセンス』収録のオリジナル曲になります。

既発のシングル曲はいずれも人気曲となったものだし、ドラマタイアップ主題歌もあって、アルバム『瞬間的シックスセンス』は前作のアルバムよりも人気となり、オリコン週間ランキングで最高2位になったアルバムです。
 

Spotifyでは『瞬間的シックスセンス』の特別プレイリストあり!

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Spotifyでも配信されているアルバム『瞬間的シックスセンス』ですが、その人気からか、「あいみょん本人が各曲に対するコメント」を音声でアルバムの曲間にいれたプレイリストがSpotifyのみに配信されてます。
 

アルバムの楽曲制作時の裏話や、タイトルのルーツ、歌詞に含まれる真意などそれぞれの楽曲の裏話を楽しむことができます。

映画『明日世界が終わるとしても』の挿入歌として起用されている「ら、のはなし」、ドラマ『獣になれない私たち』の主題歌の「今夜このまま」、ReebokとMVを制作した事でも話題の「GOOD NIGHT BABY」などの解説も含め約58分収録されてます。

Liner Voice:あいみょん「瞬間的シックスセンス」

と言うプレイリスト名で配信されています。Spotifyに加入してる方は是非聴いてみてください。
 

アルバム「瞬間的シックスセンス」から読み解くサウンドの解剖

アコギが曲の中心にあること

あいみょんの曲は、その殆どの曲で「アコギ」の音が聴こえてきます。寧ろ、意識的に「アコギ」サウンドが聴こえるような音量バランスにしているようにも思えます。各音源の優先順位は

 歌>ドラム>アコギ>エレキ>ベース

の順です。曲によってはドラム≒アコギのものもあります。基本は「アコギ」の弾き語りが出発点の音楽なのです。

そこを崩さない「音作り」がされているので、「あいみょん」のイメージである「アコギ」がブレないで、リスナーに「アコギを弾き語るあいみょん」として音像がぶれていません。そこが人気の秘密でもあります。

同じ様に「アコギ出発点」でデビューしたアーティストだと、「miwa」「YUI」がいました。彼女達の楽曲からは次第に「アコギ」の音が消えていって、人気も下火になって行ったと思います。

世界の音楽のトレンドを見ても「アコギ」の弾き語りスタイルは時代の象徴に戻りつつあります。全世界で人気のアーチスト「エド・シーラン」もアコギ一本でデビューし、そのスタイルは今も変わっていません。アコギ一本でスタジアムを満員にする世界的アーチストです。

世界のトレンドは音数少なく

世界の音楽トレンドは「歌」に戻りつつあります。それ以外の音は必要最小限に留めるという傾向にあります。「歌」以外の必要な楽器だと「リズム」「ギター」「鍵盤」です。先の「エド・シーラン」もリズムでも「キック音」と「アコギ」だけで聴かせる曲もあります。

あいみょんのアルバム『瞬間的シックスセンス』も多くの音は注ぎ込まず、曲によって「必要な音」を絞り込んでる印象です。

基本は「歌+リズム(Drum+Bass)+アコギ+α(エレキ)」の構成です。このお陰で、ノリが良く、しっかり「あいみょんの歌」に集中して聴くことが出来るようになっています。あいみょんの持つ「歌+歌詞の世界」が楽しめるサウンド・プロデュースになっているように思えます。
 

あくまで「歌」を魅力的に伝えるサウンド・プロデュース

アルバム『瞬間的シックスセンス』の編曲を手がける中心人物は二人います。

一人はシングル曲をメインに担当している「田中ユウスケ」です。彼はこれまで「いきものがかり」「YUI」「中島美嘉」を手がけて来ています。このあたりの「編曲力はシングルカットする曲とはなんぞや?」が分かってるヒット・メーカーです。

気をてらったアレンジはせず、必要最小限の「音の仕掛け」と、わかりやすく抜けの良いサウンド作りをします。先行シング『マリーゴールド』『今夜このまま』はいずれも「田中ユウスケ」のプロデュース曲です。とてもわかりやすい、POPSの王道を行くアレンジで気持ちが良いです。

もう一人の編曲者が「関口シンゴ」です。彼はジャズ、ソウル、HIP-HOPを手がけるバンド「Ovall」のギタリストです。これまで手がけたアーティストには「藤原さくら」「柴崎こう」などがいますが、あいみょんとはこれまでも数多くの曲でかかわりがある、古株です。

アルバム『瞬間的シックスセンス』での彼の編曲した曲は、シングルカットという良いrは、アルバム向きな、ややチャレンジした楽曲を担当しているようです。いずれもギターの使い方が特徴的な曲が多いです。


 

あいみょんの「魅力」と「ブレイクの理由」

時代が求めた「むき出し」のロック

初めて「あいみょん」を聞いた時、「懐かしいロック」を感じました。記憶を遡ると「吉田拓郎」「尾崎豊」「浜田省吾」等の70年〜80年代に全盛だった「時代への反骨精神」的な音楽です。

2010年代以降はジャニーズ、AKBが対応し、音楽は「大衆歌謡」全盛となり、やや幼児向けな若い層、アイドル・オタ層に向けたものになっていきました。音楽の「質」は低下していった傾向があります。

いつの時代も十代は色んな悩み、社会へのフラストレーション、将来への不安を抱えて生きていると思います。そんな思い、気持ちの代弁を「むき出しの歌詞」でぶちまける「あいみょん」は今の時代に必要なアーティストなんだと思います。

反骨精神こそがロック

Photo byPexels

そんな様々なフラストレーションを歌に向けて叫ぶ姿こそ「ロック」なんだと思います。あいみょんの歌の世界は本来「ロック」が持つ反骨精神を持って2010年代に生まれた音楽なのです。

若い世代の溜まっったフラストレーションが「あいみょん」というアーチストに向かう事で、ブレイクしていったんだと考えます。

激しいドラム、速いビート、歪んだギターが「ロック」と思われがちですが、それはスタイルです。本当の意味での「ロック」は「反骨精神」であり、時代に立ち向かう姿です。

そう考えた時に「あいみょん」の音楽に「吉田拓郎」「尾崎豊」を重ねてしまうのです。

打ち込みではないサウンド

もうひとつ特徴的なのは、今どきの音楽はテクノロジーが進化してるので、コンピューターを使った「打ち込み」で殆ど作られています。

「あいみょん」のアルバムの使ってる箇所はあると思いますが、聴いてる限り、むしろ「生音」にこだわっているように感じます。

特に「ドラム」の「生音」感が気持ちよく聴こえます。「今夜このまま」ではリズムボックス的なドラム音ではありますが、使い方は「カホン」での叩き方そのままのリズムです。「アコギ」に迫力を与える為の「パーカッション的」存在に徹しています。ここでも「アコギ」を中心に据えた音作りにしてる事がわかります。


 

まとめ

人気曲「今夜このまま」からひも解いた「あいみょん」です。

その魅力は「独特の歌詞」に込められた意味を感じる事にもあります。また懐かし思いにさせてくれる曲調は70年〜80年代のロッカーである「吉田拓郎」「尾崎豊」の女性版とも捉える事ができます。また、そのサウンドはあくまでも「アコギ」を中心に添え、「アコギでロック」する「あいみょん」というスタイルを決して崩しません。

アルバム『瞬間的シックスセンス』は「先にアルバムタイトルが決まっていた」と「あいみょん」自身が語っていました。

今の彼女はシックスセンスであるその「直感」を大切にして、曲を書いていくスタイルで曲作りをしてきたそうです。ヒット曲「マリーゴールド」もサビの”麦わら帽子の君が揺れるマリーゴールドに見えた”が先にイメージとして出来上がった曲だそうです。

そんな「直感イメージ」を膨らませる事が出来る「あいみょん」を今後も応援して見ていきたいです。
 

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