ショパンの「ポロネーズ」主要7曲を解説!【意味/曲/難易度】

ワルツなどと並んで有名なショパンの「ポロネーズ」。ポロネーズとはいったいどんな意味があるのでしょうか。また、ショパンのポロネーズの難易度はどれくらいなのでしょうか?こちらで詳しく解説しています。番外編として主要7曲以外の、人気の2曲についても解説しています!

記事の目次

  1. 1.ショパンのポロネーズとは?意味や定義
  2. 2.ポロネーズ第1番嬰ハ短調Op.26-1
  3. 3.ポロネーズ第2番変ホ短調Op.26-2
  4. 4.ポロネーズ第3番イ長調Op.40-1「軍隊ポロネーズ」
  5. 5.ポロネーズ第4番ハ短調Op.40-2
  6. 6.ポロネーズ第5番嬰ヘ短調Op.44
  7. 7.ポロネーズ第6番変イ長調Op.53「英雄ポロネーズ」
  8. 8.ポロネーズ第7番変イ長調Op.61「幻想ポロネーズ」
  9. 9.番外篇:その他ポロネーズ有名曲
  10. 10.ショパンのポロネーズまとめ

ショパンのポロネーズとは?意味や定義

ポロネーズはショパンの祖国ポーランドの民族舞踊

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ポロネーズ」とはフランス語で「ポーランド風の」という意味をもち、ポーランドの民族舞踊(舞曲)のことをいいます。ポーランドはショパンの生まれ故郷ですが、ポーランドにはポロネーズの他にマズルやオベレクなど、5種類の民族舞踊があります。ポロネーズはそのうちの1つというわけですね。

これらポーランドの民族舞踊はそれぞれに「拍子」が違います。例えばマズルは4分の3拍子あるいは8分の3拍子、オベレクは8分の3拍子です。そしてポロネーズはというと、これは4分の3拍子になります。

ポロネーズはもとは民族舞踊ではなく貴族の行進だった、とも言われ、発祥は16世紀後半のポーランド宮廷だったと言われています。そしてそれがその後ヨーロッパの各国に広まり、フランスの宮廷からポーランド風の、という意味の「ポロネーズ」という言葉が広まっていきました。ややこしいですが、ポーランドの民族舞踊の名はフランスでつけられた、ということですね。

ポロネーズというとショパンが有名ですが、古くはバッハも作曲していました。またモーツァルトやベートーヴェン、シューベルトなどもポロネーズを作曲しています。

ショパンは18曲のポロネーズを作曲したが代表作は7曲

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ショパンは18曲のポロネーズを作曲しています。

その18曲の中で、ピアノ曲は16曲、そしてその中で、番号付きで世に出された曲は後に紹介している7曲で、これらが「ショパンのポロネーズ」として現在は代表曲のように扱われています。

その他の9曲はショパンが幼少期だったころに作られたいわゆる「習作」として扱われています。この9曲の中にはショパンが7歳の時に作曲した「ポロネーズ第11番ト短調(遺作)」も含まれています。

ショパンコンクールでも課題曲となっている

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ショパンのポロネーズはショパンピアノコンクールでも課題曲として選ばれています。

特に人気の高いのは第6番の「英雄ポロネーズ」、7番の「幻想ポロネーズ」、3番の「軍隊ポロネーズ」ですが、ショパンコンクールでは5番から7番、「アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ」の4曲から1曲を選ぶ形式になっており、そういったところからもショパンのポロネーズというのがショパンの曲の中でもいかに重要な位置を占めているかというのがわかります。

ポロネーズ第1番嬰ハ短調Op.26-1

「ポロネーズ第1番嬰ハ短調op.26-1」はタイトルこそついていませんが、人気のある曲です。序盤、やや激しいメロディ展開が続きますが、中間部分では柔らかで優しい旋律が奏でられていきます。そしてまた後半部分で激しい雰囲気に戻ります。意識して聞いてみるとポロネーズのリズムがわかるかと思います。

この曲は難易度としてはそう高くないので、ショパンのポロネーズを弾いてみたい、と思ったときにまず練習してみるのにおすすめの曲ですよ。

ポロネーズ第2番変ホ短調Op.26-2

「ポロネーズ第2番変ホ短調op.26-2」は、かなり重く、激しい旋律が続きます。

ショパンの曲というとどちらかというと明るい曲のイメージがありますが、この曲は悲壮感すら感じさせる重い曲ですね。ピアノテクニック的には1番に比べるとやや難易度は高いと思います。中間部分ではっきりとポロネーズのリズムを聞くことができます。

ポロネーズ第3番イ長調Op.40-1「軍隊ポロネーズ」

ポロネーズ第3番イ長調Op.40-1は「軍隊ポロネーズ」として知られています。軍隊ポロネーズとはつけられていますがこちらはもちろんショパンが自らつけたものではありません。ちなみに英語では通称として「The Military Polonaise」と呼ばれています。

「軍隊」と名付けられたのも分かる、と思えるような、始終勇ましい感じの旋律で紡がれていきます。とても華やかな曲なので演奏会などでは映えると思います。

テクニック的にも、音取りさえできればそう難しくはありませんので、中級~上級レベルの方であればチャレンジできるのではないでしょうか。

ちなみにop40-2はガラッと曲調が変わります。軍隊ポロネーズは1と2をセットにして1曲ととらえる人もいるようで、続けて聞いてみるとなるほど、と思う部分もありますね。

ポロネーズ第4番ハ短調Op.40-2

「ポロネーズ第4番ハ短調Op.40-2」は上記した軍隊ポロネーズと同じ作品ナンバー、40の2曲目にあたります。上でも少し書きましたが、軍隊ポロネーズとこの曲をセットにして考えている方もいらっしゃいます。さらには、こちらの曲のほうが軍隊ポロネーズと名がつけられた40-1よりも作品の出来としては優れているのではないかという意見も多いですね。

ただ、構成的には優れていても、華やかさの上では40-1のほうが上回ると思います。たとえるなら、40-1は偉大なる祖国ポーランドをたたえた曲、そしてこの40-2は没落していく祖国を嘆くショパンの叫び…そのように解釈できるかもしれません。

ポロネーズ第5番嬰ヘ短調Op.44

「ポロネーズ第5番嬰ヘ短調Op.44」はタイトルこそつきませんでしたがショパンのポロネーズの中では名曲とも言われる曲です。この5番はショパンコンクールでも選曲されるほどです。あのリストも大絶賛だった、ということからもいかに素晴らしいと評価されているかが伝わってきますね。

出だしの左右オクターブによるユニゾン展開から鳥肌のたつようなドラマティックさで引き込まれていきます。華やかな和音による旋律は哀愁みを帯びてまさに「ショパンの曲だ」と思わせます。中間部のマズルカ形式になっているところも素晴らしいですね。全て弾くと10分くらいになる大作ですが、弾きこなせたらかっこいいですよね。

ポロネーズ第6番変イ長調Op.53「英雄ポロネーズ」

「ポロネーズ第6番変イ長調Op.53」は「英雄ポロネーズ」と名付けられた曲です。ちなみに英語表記では「Heroic Polonaise」となります。

「英雄ポロネーズ」はショパンのポロネーズの中だけでなく、ショパンの全曲の中でも人気の曲の1つと言えるでしょう。また、クラシックやピアノ曲にあまり馴染みがない、という人にもどこかで一度は聴いたことのある曲かと思います。

華やかで堂々とした、まさにこれこそショパン!という曲です。難易度も高く、ありとあらゆるテクニックを駆使する曲ですが、同じフレーズを繰り返したりもするので一度マスターすれば弾きやすいところはあるかと思います。

ポロネーズ第7番変イ長調Op.61「幻想ポロネーズ」

「ポロネーズ第7番変イ長調Op.61」は幻想ポロネーズとも題されています。ショパンが、恋人ジョルジュ・サンドとの別れ、そして自身の病気と闘いながらかきあげた曲で、実質、ショパンのいわゆる「大作」としてはこの曲が最後の作曲である、と言われています。

非常に難解で弾きづらい楽曲となっています。難易度も高く、弾きこなすには相当の練習が必要でしょう。あのリストでさえ、「ショパンは気が狂ったか」と言ったそうです。
10分以上の大作ですが、腕に自信があれば是非、チャレンジしてみてください。

番外篇:その他ポロネーズ有名曲

ポロネーズ第11番ト短調(遺作)

さて、ショパンのポロネーズは、上記7曲が代表、と言われていますが、そのほかにも隠れた名曲として人気のあるポロネーズがあります。その一つがこの「ポロネーズ第11番ト短調(遺作)」です。

この曲はショパンが7歳のころに作られたピアノ曲で、今のところではこの曲が、ショパンが作曲した最初の曲と言われています。しかし7歳の時にすでにポロネーズを作曲していたとは恐るべき才能ですね。この「ポロネーズト短調(遺作)」はショパンの隠れた名曲として人気も高く、多くのピアニストに愛されています。

「ポロネーズト短調(遺作)」は他のポロネーズにはない哀愁が漂う感じの曲になっており、しかし難易度としてはそう高くないので興味があったら是非チャレンジしてみてください。

ポロネーズ第8番ニ短調作品71-1(遺作)

ショパンのポロネーズは7番まで、番号が付けられてショパンの生前に発表されました。しかしそれ以降も友人のフォンタナによって番号がつけられ、1955年に遺作として出版されています。この「ポロネーズ第8番ニ短調作品71-1(遺作)」は上記の11番と同じく、隠れた名曲としてピアニストたちから人気を得ています。

この曲が作曲されたのは1825年か27年と言われています。ショパンがまだ20歳になる前、15歳か17歳に作られた作品なのですね。

哀愁ただよう美しい旋律が印象的です。速く弾くことを要求はされますが音取りはそう難しくないでしょう。難易度としては中級から上級のレベルでしょうか。右手のメロディーをいかに、流れるように美しく響かせるかが重要になります。

ショパンのポロネーズまとめ

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こちらでは、ショパンのポロネーズについて、代表作7曲とその他人気のある2曲について解説、難易度などについて触れています。また、ポロネーズの意味や由来についてもまとめています。

ショパンのポロネーズはワルツなどと並んでショパンの代表曲集として扱われています。独特のリズムですが一度掴んでしまうと楽になると思います。難易度は曲ごとにそれぞれですが、英雄ポロネーズや軍隊ポロネーズなど、演奏会などで颯爽と弾きこなせたらきっとかっこいいですよね。

好きだと思った曲から是非、トライしてみてください!

また下記の記事ではショパンの名曲10選をご紹介しています。ショパンの有名曲・代表曲について更に知りたい方はぜひ見てみてましょう。

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