【うる星やつら2】中毒者続出のビューティフル・ドリーマーってどんな映画?

「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」は1984年に公開された「うる星やつら」の劇場版第2作。日本アニメ史に残る傑作と言われながら賛否が分かれる問題作でもあります。「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」は一体どんな映画なのでしょうか?

記事の目次

  1. 1.高橋留美子の代表作「うる星やつら」の劇場版を知ってる?
  2. 2.「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」の監督は?
  3. 3.「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」主題歌は『愛はブーメラン』
  4. 4.「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」まとめ

高橋留美子の代表作「うる星やつら」の劇場版を知ってる?

Photo by MIKI Yoshihito. (#mikiyoshihito)

「うる星やつら」は人気漫画家・高橋留美子のデビュー作にして代表作です。
1978年から1987年まで少年サンデーに連載され、あだち充の「タッチ」と並んで同誌の看板作品として人気となりました。

地球を侵略しに来た鬼族の代表だったラムがなぜか押しかけ女房となり、高校生の諸星あたると同居生活を始めます。
宇宙人や妖怪など様々なキャラクターが登場するドタバタギャグマンガですが、ラブストーリーや感動的なエピソードも交えつつ、長期連載となりました。
ラムちゃんのトラ柄ビキニ姿は刺激的で、少年マンガのヒロインとしては画期的なセクシーさでした。

1981年にはテレビアニメ化され、1986年まで約4年半にわたって放送されました。
そしてテレビアニメの大人気を受けて制作されたのが劇場版長編作品です。

第1作目は1983年2月に公開された「うる星やつら オンリー・ユー」。
原作や初期アニメのテイストを踏襲したドタバタなコメディでファンからは好意的に迎えられ、すぐさま次回作の制作が決まります。

そして劇場版第2作として1984年2月に公開されたのが「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」なのです。

「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」あらすじ

Photo byClaudio_Scott

廃墟と化してしまった友引町。その中でラムたちは水遊びを楽しみ、面倒終太郎は戦車で街を探索しています。一体友引長に何が起きてしまったのでしょうか…。

場面は変わり、学園祭前夜を迎えた友引高校。あたるやラムのクラスはもちろん、学校全体が準備のためにごった返しています。
連日泊まり込みで準備を行い、学校内は賑やかで大騒ぎ状態です。

そんな中、サクラ先生をはじめとする数人が異変に気づきます。
「もしかして我々は学園祭の前夜をずっと繰り返しているのではないか?」
真偽を確かめるため行動に移しますが、この状況から逃げられないと彼らが悟った時から友引町の荒廃が始まったのでした。

いかがでしょうか?
このあらすじを見ても一見どんな映画かわからないかもしれません。
そう、一言で言えるような単純なストーリーではないのです。
タイトルの通り夢がテーマとなっている作品で、見ている側も夢を見ているような気分になる不思議な映画なのです。
1作目のわかりやすいコメディタッチを変わり、「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」は監督の作家性が大きく反映している映画と言われています。

「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」の監督は?

Photo byMediamodifier

「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」の監督は押井守。
後に「攻殻機動隊」で世界を驚かせることになる名監督です。
初期テレビアニメ版の演出を担当し、劇場版1作目「オンリー・ユー」の監督も務めています。
しかし、「オンリー・ユー」の監督は本来の監督が降板したために急遽決まったそうで、脚本も出来上がっていたそうです。
制作時間も少なく、自分の作家性を反映することはほとんどできなかったと後に押井守は語っています。

それに対して「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」では押井守は脚本も担当。
自分の作家性を存分に発揮し、独自の世界を創りあげたのです。

賛否両論の問題作?

「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」は現在も日本のアニメ史に残る傑作として評価されています。
しかし、一部の原作ファンの評価はやや違うようです。
これは押井守監督の作品であり、ファンが求める「うる星やつら」ではないという意見もあるのです。

ドタバタなラブコメディではなく、サスペンスや謎解きが絡んだ複雑な物語。
中盤ではラムやあたるではなく、サブキャラクターのメガネが物語の語り部として本作で最も長いセリフを話します。
メガネ役の千葉繁は「機動警察パトレイバー」などでも押井守作品の中で重要なキャラクターを演じた声優です。
押井守監督でなければこの脇役にスポットが当たることはなかったでしょう。

公開から35年が経った現在でも評価は賛否両論様々です。
しかし、ここまで熱い議論が盛り上がるのも映画としてのクオリティが高いからなのは間違いありません。
押井守監督がうる星やつらという原作を通して自分の作家性を爆発させた傑作なのです。

「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」主題歌は『愛はブーメラン』

「ビューティフル・ドリーマー」はラストの演出も秀逸でした。
本来ならば映画の最初で出てくるはずのタイトルが最後に出てくるのです。
その後ろで流れるのが主題歌である「愛はブーメラン」。
歌っているのは1980年代に活躍した歌手、松谷祐子です。
「うる星やつら」ではテレビアニメの主題歌である「ラムのラブソング」も歌っていました。
「ラムのラブソング」はとてもかわいいイメージですが、「愛はブーメラン」はクールでカッコいい曲になっています。

他にもいくつかの劇中歌が盛り込まれている

主題歌の他にも「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」ではいくつかの劇中歌が使用されています。
冒頭、荒廃した友引町でラムたちが水遊びをしているシーン。
ラジカセから流れているのが宮原芽映の歌う「ラメ色ドリーム」です。
「ラムのラブソング」や「Dancing Star」など、初期テレビアニメの主題歌や挿入歌をてがけた小林泉美による曲です。

中盤、諸星あたるたちが作戦会議をするお好み焼き屋で流れているのは加藤登紀子の「時代おくれの酒場」。
この映画のために作られた曲ではなく、1977年にリリースされた曲です。
高倉健主演の映画「居酒屋兆治」の主題歌として使用されたことでも知られています。
実はテレビアニメでも挿入歌として使用されたこともあり、押井守監督の好みの曲なのかもしれません。

「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」まとめ

Photo by SigNote Cloud

「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」についてご紹介しました。
人気マンガが原作の劇場版アニメでありながら、監督自身の作家性が爆発したことがこの作品を特別なものしているのです。
原作ファンからの意見は様々ですが、現在も日本アニメ史に残る傑作として多くのファンを虜にしている中毒性の高い映画です。
ぜひ一度ご覧になってください。

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