【スピッツ】広瀬すずが口ずさむ!映画主題歌としても起用された『歌ウサギ』について徹底解説!
スピッツの名曲『歌ウサギ』。生田斗真と広瀬すずの共演が話題となった映画の主題歌に起用された楽曲でもあり、スピッツのセンスを改めて見せつける作品となっています。今回は、そんな『歌ウサギ』の歌詞の意味を独自に解釈してみました。
『歌ウサギ』に込められた歌詞の意味を徹底解説!
『歌ウサギ』はスピッツの楽曲らしく歌詞の解釈が難しく、聴く人によって感じ方が変わりそうな深みを持った楽曲となっています。
そんな『歌ウサギ』の歌詞を独自に解釈してみましたので、解説していきたいと思います。
こんな気持ちを抱えたまんまでも何故か僕たちは
ウサギみたいに弾んで
例外ばっかの道で不安げに固まった夜が
鮮やかに明けそうで
「こんな気持ち」とは、生徒が先生を想う、叶うはずのない禁断の恋心でしょうか。
重荷となる恋心を抱いていても「ウサギ」のように飛び跳ねたりする。
恋をしているときには誰でも心は浮き沈みするものですが、たとえ禁断の恋であっても心は浮かれてぴょんぴょんと弾むこともあります。
そして、恋というものはなかなか想定通りにはいきません。起こるのは予想外のことばかり。
相手の気持ちは読み取れないし、周りの人たちは思わぬ言動ばかりをして、壁にぶつかったり不安な気持ちになったりもします。
そんな不安な夜でさえ、好きな相手のことを思い浮かべれば心は明るくなって、こんな夜も「鮮やかに明けそう」な気がするのです。
”恋は盲目”とはよく言いますが、そんな光景がこの歌詞から思い浮かびました。
ちなみに、ウサギはあまり視力がよくないようで、ただ夜行性なので暗闇は得意で光を感知する能力は人間の8倍くらいあるそうです。
恋をしているときは盲目で目の前のことすらあまりちゃんと見えなくなるけど、好きな人の魅力的な部分だけは必要以上に感知できてよく見える。
ウサギの視界は人間が恋をしているときみたいですね。
今歌うのさ ひどく無様だけど
輝いたのは 清々しい堕落 君と繋いだから
「清々しい堕落」。
誰かに恋をするということを、そんな風に表現してしまうスピッツの歌詞のセンスには脱帽です。
一見解釈が難しそうなここの歌詞ですが、恋愛に重ね合わせると個人的にはとてもしっくり来ました。
「堕落」には、”落ちぶれること”や”生活が乱れること”といった意味があります。
誰かに恋をしているときって、精神状態が前向きになったり生活が整ったりする人もいれば、むしろ精神状態が不安定になって生活が乱れて落ちぶれていくような人もいるんじゃないかと思います。
好きな人のことばかり考えて何も手につかなくなったり、ちょっとしたことに一喜一憂して振り回されてしまったり。
そんな「堕落」でさえ、大好きな人のためならかまわないとさえ思ってしまう。
だからこそ「清々しい堕落」という表現なのではないかと私は解釈しました。
どんだけ修正加えてみても美談にはならない
恋に依存した迷い子
さんざん転んで色々壊してモノクロの部屋に
残されてた方法で
今歌うのさ フタが閉まらなくて
溢れそうだよ タマシイ色の水 君と海になる
例えば生徒と先生による禁断の恋であれば、周りから見れば「美談」とすることは難しいかもしれません。
そして、生徒と先生という間柄であればその恋は前途多難なものであることは目に見えています。
さまざまな困難にぶつかり、転んだり壊したりしながら自分の目に見えるものだけを頼りになんとか進んでいくしかありません。
「恋に依存した」と言い放ってしまう辛辣さはスピッツらしさを感じます。
恋をしているときの世界は色鮮やかなものとして表されることも多いですが、ウサギは色の識別ができないと言われており、だから「部屋」は「モノクロ」なのではないでしょうか。
君への想いはもう溢れてしまいそうなほど。
スピッツらしい世界観を感じさせる「君と海になる」という歌詞。
海は全部つながっていて、地球に一つしかありません。
その海になるということは、主人公と君は一つになってつながるのということではないでしょうか。
つまりここの歌詞は、2人の想いが通じ合うところを表現しているのではないかと解釈しました。
「何かを探して何処かへ行こう」とか
そんなどうでもいい歌ではなく
君の耳たぶに触れた感動だけを歌い続ける
「何かを探して何処かへ行こう」なんて、いかにもありがちでかっこいい大げさなものではなくて、ただ君自身に触れられるだけで十分。
映画や原作に登場するのはまだ恋を知らない高校生。そんな10代の時の恋愛って、「何かを探して」とか「何処かへ行こう」なんて大人びたものではなく、ただ好きな人に近づきたい、触れたいという真っ直ぐで純粋なものでもありますよね。
「何かを探して何処かへ行こう」というよく耳にする言葉を「どうでもいい歌」と跳ねのけてしまうスピッツ。
この歌詞を見ると、これまでたくさん聴いてきた歌詞がただ気取っていかにも取り繕っただけのようなもので、ただ触れたいという自分の欲望に正直な感情こそが本当の恋心であったり、愛であったりするように思えてくるのです。
初々しくて瑞々しい恋心がここの歌詞だけでもひしひしと伝わってきます。
敬意とか勇気とか生きる意味とか
叫べるほど偉くもなく
さっき君がくれた言葉を食べて歌い続ける
何一つ偉そうなことは言えない。それでも君のことが好きだ。それ以上に偉大なことなんてない。
そんな美してまぶしい潔ささえ感じられる歌詞だなと感じました。
「君がくれた」言葉は、自分にとって生きるための糧にさえなる。
君の言葉でお腹いっぱいにしてそれをエネルギーにして歌う「歌ウサギ」。
「歌ウサギ」は、自分の恋心を力いっぱい歌い続けるのです。
まとめ
歌詞のどの部分を切り取っても心に深く刺さる言葉ばかりで、改めてスピッツの飛びぬけた感性を感じさせてくれる名曲である『歌ウサギ』。
原作マンガや映画で描かれているような禁断の後ろめたい恋。そして、恋や愛というもの自体の姿を綴ったこの楽曲は映画の内容にもマッチしていると評価されています。
ウサギは実は性欲が強い動物としても有名で、豊穣や性のシンボルとしても知られているようです。
禁断の恋に落ちてしまう人間を歌うウサギに例える。そのセンスはさすがスピッツとしか言えません。
原作の人気マンガ『先生!』、映画『先生! 、、、好きになってもいいですか?』、そして主題歌の『歌ウサギ』やそのPVまで、どれも見逃せない名作揃いです。
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