ピアノのペダルの意味・役割と使い方についてご紹介!

クラシックのコンサートからバーの演奏まで様々な場面で目にする楽器「ピアノ」。また子供のころの習い事としても盛んです。私たちにとって身近な楽器の1つだと言えるでしょう。そんなピアノの鍵盤のずっと下についている「ペダル」。ペダルを使いこなすことで、より豊かな音色を奏でることができます。この記事ではペダルの種類と役割、使い方などを解説します

記事の目次

  1. 1.ピアノのペダル
  2. 2.ピアノのペダルの種類と役割
  3. 3.ペダルの楽譜上の記号
  4. 4.ピアノのペダルの使い方・踏み方

ピアノのペダル

ピアノの足下に3つ並んでいるペダル。一番右のペダルは使うけどそれ以外は…という方もいるかもしれません。

しかしペダルを使いこなすと演奏の表現力がアップします。そんなペダルについてそれぞれの意味、仕組み、働きなどを解説します。

いつからペダルを使う?

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まずはペダルをいつから使うのかを見てみましょう。

ピアノを通常に設置した状態ですと、スツールに腰かけて足が床に届かなければ使えません。もちろん立って弾くなどすれば使えるかもしれませんが、初心者の子供にはおすすめできません。

ただし補助ペダル(アシストペダル)を使うと20cm~30㎝程度高くすることができるので、身長110㎝~120㎝程度でも届くようになります。

ペダルにはいつから使わなければならないというきまりはありません。補助ペダルに足が届くようになれば少しずつ使ってみるのもいいかもしれません。

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テクニック面でみると、初心者のころはペダルを使う必要はありません。

昔から初心者が使う定番とされているテキスト「バイエル」にはペダルの指示はありません
最近よく使われる「バーナム」のピアノテクニックでは「ミニブック」「導入書」に続く「第1巻」でペダル記号が出てきます。

使っているテキストにペダルが出てくれば、それが「いつから」のタイミングでしょう。

ピアノのペダルの種類と役割

Photo byPIRO4D

ピアノのペダルの種類はグランドピアノとアップライトピアノで少し違います。
それぞれ一般的には3つのペダルがついています。

まずグランドピアノのペダルは次の3つです。

  • 右:ダンパーペダル
  • 中:ソステヌートペダル
  • 左:シフトペダル

アップライトピアノのペダルは次の3つです。
  • 右:ダンパーペダル
  • 中:マフラーペダル
  • 左:ソフトペダル
右のペダルはどちらも同じ働きです。
左のペダルもほぼ同じ効果がありますが、その効果を出すための方法が異なります。
真ん中のペダルは働きが違います。
またグランドピアノでは第4のペダルと呼ばれるような違う働きのペダルが設置されていることもあります。

ピアノの音が鳴る仕組み

Photo by Denim Dave

それぞれのペダルの役割を知るためには、ピアノという楽器がどうやって音を出しているのか知っておく必要があります。ときどき耳にする問いで「ピアノは弦楽器か打楽器か」というものがあります。

「ピアノは鍵盤楽器じゃないの?」と思った方もいるかもしれません。演奏の仕方に着目するとピアノは「鍵盤楽器」です。

しかし音の出し方に着目すると「弦楽器」もしくは「打楽器」となります。ピアノの鍵にはそれぞれ弦がつながっています。通常はその弦をダンパーが押さえていて音が鳴らないミュートの状態になっています。鍵を押すとその鍵に対するダンパーが上がり、ハンマーがその弦をたたき、音が鳴ります。押した鍵以外のダンパーは降りていて弦を押さえているため、余計な音は鳴らない仕組みです。

また押した鍵も離すとダンパーが降りるために音が止まります。このように弦を鳴らすことで音が鳴っていることに注目すると弦楽器です。また、弦をたたいて音を鳴らすことに注目すると打楽器と言えます。

ダンパーペダル

Photo by marc falardeau

それではそれぞれのペダルがどのような役割を果たすのか、その仕組みと一緒に見てみましょう。

まずはグランドピアノでもアップライトピアノでも一番左にあるダンパーペダルです。ピアノでペダルと言えばこのダンパーペダルのことを指すこともあるくらい、一番よく使うペダルです。このペダルを踏むと、弦を押さえてミュートしているダンパーがすべて上がります。実際には弦を押さえているダンパーを解除するものなので、正確には「ダンパー解除ペダル」かもしれません。効果としてはペダルを踏んでいる間に弾いた鍵の音が鍵を離しても鳴り続けます。
そのため音を伸ばすという意味で英語では「サスティンペダル(sustain pedal)」と呼ぶことが多いようです。

電子ピアノの場合はダンパーがついていないので日本でもサスティンペダルと呼んでいます。

シフトペダル/ソフトペダル

次に左に位置している「シフトペダル/ソフトペダル」について見てみます。

この左のペダルはグランドピアノとアップライトピアノで仕組みは違いますが目的は同じです。このペダルを踏むと音が小さくなります。ピアノは各鍵に対して弦が2~3本張られています。
(88鍵に対して約230本の弦を使用)

グランドピアノではこの左のペダルを踏むとハンマーが少し横にずれ、たたく弦の本数を減らすことで音を小さくします。このときの横にずれる様子から「シフトペダル」と呼びます。

また音が小さくなることから「ソフトペダル」と呼ぶこともあります。

フリー写真素材ぱくたそ

アップライトピアノではこのペダルを踏むとハンマーが弦に近づきます。弦をたたくストロークを小さくすることで音を小さくします。

それでアップライトピアノでは「シフトペダル」とは呼びません

ソステヌートペダル

最後に真ん中のペダルですが、これはグランドピアノとアップライトピアノで全く異なるものです。グランドピアノでは「ソステヌートペダル」がついています。

ソステヌートは「音を十分に保って」という曲想を表す記号「ソステヌート」と語源は同じです。このペダルを踏んだときに押さえていた鍵の音が、ペダルを踏んでいる間鳴り続けます。
ペダルを踏んでいる間、音が持続するならダンパーペダルと同じではと思った方もいるかもしれません。しかしその意味は全く違います。ダンパーペダルを踏むとすべての鍵のダンパーが上がっていました。しかしソステヌートペダルを踏んだ場合は、そのとき押さえている鍵に対応するダンパーのみが上がります。つまりその後違う鍵を押さえても、後で押さえた鍵の音は持続しません。

例えば低いド(C3)を押さえてソステヌートペダルを踏みます。ペダルを踏んだ状態でC4からドレミファソラシトと弾いてみます。ペダルを踏むときに押さえていたC3はずっと鳴っていますが、
ドレミファソラシドは普通に音が切れます。同じことをダンパーペダルでやると、C3のドとその後弾いたドレミファソラシドがずっと鳴り続けます。

さらにそれに関係する倍音で共鳴し、すごいことになるでしょう。
YouTubeにソステヌートペダルとダンパーペダルの比較をしている動画がありましたので、参考までにご覧ください。

動画の中で最初にダンパーが一斉に上がるのがダンパーペダルを踏んだ時です。0:28あたりで1つのダンパーだけが上がっているのがソステヌートペダルを踏んだ時です。

ソステヌートペダルを踏んだ後で弾いた鍵のダンパーはすぐに降りているのが分かります。

マフラーピアノ(弱音ペダル)

アップライトピアノの真ん中のペダルは「マフラーペダル」といいます。こののマフラーペダルを踏むとピアノの音全体を小さくなります。ペダルを踏むと弦と弦をたたくハンマーの間にフェルトが一枚挟まる状態になります。これは演奏上の表現としてではなく、練習などでやむなく音を小さくする必要があるときに使います。

そのためこのペダルを「弱音ペダル」とも言います。このペダルは踏み込んで右か左にずらすことでロックできるようになっています。自宅にアップライトピアノがある方は、この弱音ペダルのお世話になっているかもしれません。
ただし弱音ペダルを使った状態だとやはり弾き心地が違います。

グランドピアノとアップライトピアノでは真ん中のペダルを踏んだときの働きが全く違うので注意が必要ですね。

ペダルの楽譜上の記号

Photo byKateCox

ダンパーペダルを踏むことを表す記号としては踏み始めに「Ped.」が使われます。

ペダルの開放には「」のような記号(ただしヒゲが8本)が使われます。
またソステヌートペダルの場合、踏み始めの記号は「sost.Ped.」と表記されたり、「Pedale Sostenuto」と表記されたりします。

バーナムピアノテクニック(1) / エドナ・メイ・バーナム著, 中村菊子訳

また先ほど紹介したバーナムではダンパーペダルを踏み込んでいる区間を横線で表します
その両端を踏み始めは上に、開放時には下に垂直にヒゲをつけています。

ピアノのペダルの使い方・踏み方

ペダルを踏むときはつま先ではなくしっかりと足をのせましょう。また、床にかかとをつけておくのがいいかと思います。こういった踏み方をすることで踏み具合をコントロールしやすくなります。実際によく使うペダルはダンパーペダルです。ペダルを踏んでいる間は音を止める役割を果たすダンパーが上がったままですので、その間に弾いた鍵の音が鳴り続けます。

ただしダンパーペダルを使うときには注意が必要です。それはペダルを踏んでいる間は、すべての鍵のダンパーが上がっているため弦が開放された状態です。この状態ですと押さえた鍵の音だけでなく倍音の関係にある音が共鳴して鳴ります。この共鳴をうまくコントロールできれば豊かな表現ができますが、逆に共鳴させすぎてしまうと、かなり騒がしい感じになってしまいます。この共鳴現象を利用してダンパーペダルを踏んだ状態でピアノ以外の音を共鳴させるという表現方法もあるようです。

ある程度のプレイヤーになるとソステヌートペダルを使いこなすことも必要になるかもしれません。ベース音を弾いてソステヌートペダルとダンパーペダルを踏み、ダンパーペダルを踏み直す奏法もあります。
YouTubeにはペダルの踏み方を解説するビデオがありますので、いろいろと参考にしてみてはいかがでしょうか。
踏み方ひとつで演奏に幅がでるピアノのペダル。

ぜひ使いこなしてくださいね。

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