安室 奈美恵の伝説的な名曲「SWEET 19 BLUES」の歌詞を読み解く!

現在は引退を発表しましたがずっと音楽シーンのカリスマだった安室 奈美恵の名曲『SWEET 19 BLUES』の歌詞は彼女の当時の気持ちが歌われた曲です。こちらでは安室 奈美恵の『SWEET 19 BLUES』を深く掘り下げました。19歳だった彼女の本心とは?

記事の目次

  1. 1.音楽業界の伝説的存在となった安室 奈美恵
  2. 2.アルバム『SWEET 19 BLUES』は安室 奈美恵にとって2作目
  3. 3.安室 奈美恵の名曲の一つ「SWEET 19 BLUES」に迫る
  4. 4.安室 奈美恵の『SWEET 19 BLUES』は他のアーティストからもカバーされている
  5. 5.安室 奈美恵『SWEET 19 BLUES』のまとめ

安室 奈美恵の名曲の一つ「SWEET 19 BLUES」に迫る

『SWEET 19 BLUES』は1996年のリリース

アルバム『SWEET 19 BLUES』には19曲が収録、そのうち、「Body Feels EXIT」「Chase the Chance」「Don't wanna cry」などのシングルヒット曲がうまれました。そして今回ここでとりあげるのがタイトルトラックともなった『SWEET 19 BLUES』です。アルバムは1996年7月22日の発売ですが、同じタイトルのシングルは1996年8月21日にリリースされました。

作曲、歌詞は全て小室哲哉によるものです。しかし彼はこの曲の歌詞を書くにあたり、「昔も未来も違和感なく使える普遍的な言葉」を使うように心がけたそうです。たとえば「ダイヤルを回す」というフレーズを没にしたり、ポケベルがはやっていた時代でも「ポケベル」という言葉を使うのではなく、色んな意味で通じるよう「ベル」という単語にしたりなど。これはすごいことだなと思いますね。
ダイヤルを回す、という言葉はおそらく2019年の現在、通じない若者もいることでしょう。ポケベルの全盛期の時代は、携帯電話が普及してすぐにとって代わられましたから、これも現在は知らない人も多いことでしょう。

また、安室奈美恵とよく話し合い、彼女のその時の思いを打ち明けてもらうことでこの歌詞は完成しています。すなわちこの『SWEET 19 BLUES』は安室奈美恵という1人の、19歳の女の子の等身大の姿なのです。

リリースと同時に行ったライブは女性アーティストでは史上最年少

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そしてこのシングル発売と同時期に安室奈美恵が行ったのがスタジアムでのライブです。彼女の出身地である沖縄(宜野湾市海浜公演野外劇場)と千葉マリンスタジアムで開催されたライブは、18歳の女性アーティストとしては史上最年少というものでした。もちろんこのライブは大成功、千葉マリンスタジアムのライブの様子を収めたビデオ「NAMIE AMURO FIRST ANNIVERSARY」は16万本を売り上げるという大ヒットとなります。

『SWEET 19 BLUES』の歌詞に込められた意味や想いとは

それでは、『SWEET 19 BLUES』の歌詞に込められた意味や、彼女の思いについて掘り下げていきましょう。

今日もため息の続き 1人街をさまよってる
エスケープ 昨日からずっとしてる
部屋で電話を待つよりも
歩いてる時に誰か ベルを鳴らして!

19歳、という年齢は微妙な位置にあるのではないかと筆者は思います。

高校はとうに卒業した年、しかしまだ成人はしていない、宙ぶらりんな年齢。大学や専門学校へ通う人もいれば、就職している人もいます。しかしまだ人生を19年しか生きていません。まだまだ色んな夢が見られる時期でもあります。しかし、本当に自分の未来は明るいのかと不安になる人もいますね。

ため息をつきながら、どうしたらいいのかもわからず、現実から逃げている自分。部屋にいるときではなく、こうしてアテもなくふらふらしているときにこそ誰かから誘いの電話でもかかってくればいいのにという心情が歌われています。これは、誘いの電話があれば一時的に逃げ道ができるから、という解釈ができると思います。

もうすぐ大人ぶらずに 子供の武器も使える
いちばん 旬なとき
さみしさは昔よりも 真実味おびてきたね
でも明日はくる

「大人ぶらずに子供の武器も使える」というのは上記したように、まだ「大人ではない」19歳、という年齢をこのように表現したのでしょう。いちばん旬なとき、と言いつつ、さみしさは真実味を帯びてきた、と現在の自分が抱えている「寂しい」という気持ちを吐露しています。
安室奈美恵は10代の若いころからトップシーンを走ってきました。普通のくらしをしてきた19歳の女の子と、安室奈美恵の19歳は全く違うものでしょう。華やかな世界にいるように見えても、彼女なりに悩みもあったかもしれません。

SWEETSWEET 19 BLUES ただ過ぎて行くよで
きっと身について行くもの
SWEETSWEET 19 DREAMS
Rhythm & Bluesまるで毎日の様なスタイル

これまでただ19年生きてきたようで、それでもちゃんと身についているものだ、という意味に解釈しました。
そして自分の毎日をまるで「リズム&ブルースのよう」とたとえているのです。

自分だけで精一杯 それでもそれなりに見える
タバコの煙をかきわけ音にうもれて
いちばんとりえが何か 教えてあげなきゃならない
あの子やあいつ

世の中かっこつけてて それよりかっこよくなきゃいけない
もし飛び出るんだったら…
昨日はあの子が私の 明日は私があの子の
傷をいやして

芸能界、自分だけで精一杯で、それでもちゃんとしてるようにふるまっていればそれなりに見える、と、やや見栄をはっていきている部分を表しているのかもしれません。
タバコの煙、というあたりで、自分はまだ未成年だけれど大人がたくさんいる世界にいるのだ、という描写になりますね。
あの子やあいつ、というのは同世代の仲間のことをさしているのでしょうか?常にかっこよくあらねばならない世の中で、「あの子やあいつ」と助け合い、支え合って生きている様子かもしれないと思いました。

SWEETSWEET 19 BLUES
だけど私もほんとはすごくないから
SWEETSWEET 19 DREAMS
誰も見たことのない顔 誰かに見せるかもしれない

そして、安室奈美恵がこの歌で一番言いたいことはこの2番のサビの部分かもしれないと思いました。
「だけど私もほんとはすごくないから」これが本当の彼女の姿だったのではないでしょうか。カリスマのように扱われ、憧れの存在であった彼女ですが、本当は普通の19歳なのだと言いたいのではないかと思います。
そして、「誰も見たことのない顔」というのは、これこそが「普通の19歳の女の子が見せる顔」であり、彼女がしてみたかったことではないでしょうか。いつだって「かっこよくなきゃいけない」世界で、たまには普通の19歳の女の子を出してみたい、それが彼女の当時の本心だったのではないか、と解釈しました。
 

安室 奈美恵の『SWEET 19 BLUES』は他のアーティストからもカバーされている

『SWEET 19 BLUES』は他のアーティストからもカバーされている楽曲です。シンガーソングライターの星野みちるが2016年に発表したカバーアルバム『My Favorite Songs』に収録されている他、加藤ミリヤが『19 Memories』というタイトルで、この曲をモチーフにした曲を発表、特に10代の女の子たちの支持を集めました。

加藤ミリヤの『19 Memories』はタイトルは変えてありますが楽曲のつくりは原曲とほぼ同じ、サビのメロディーは全く同じです。さらに歌詞も、同じように「19歳」という年齢の微妙さ、そして誰からも分かってもらえない寂しさや孤独さが歌われています。
10代最後の年齢を懐かしみつつ、大人になってしまうことの不安が歌われたこの曲ですが、最後には「負けないよ」とエールも送っています。もしかしたら安室奈美恵へのアンサーソング、なのかもしれませんね。

安室 奈美恵『SWEET 19 BLUES』のまとめ

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こちらでは安室奈美恵の代表曲の1つ、『SWEET 19 BLUES』について、歌詞を深く掘り下げるとともに、当時の等身大の彼女を浮き彫りにしてみました。あわせて、その曲のカバーや、安室奈美恵という1人のアーティストについても簡単ではありますがまとめ、彼女が成し遂げた快挙についても触れています。

安室奈美恵は音楽シーンだけでなくCMシーンなどでも多く目にするアーティストでした。筆者は彼女のデビューから引退までをリアルタイムで見届けていましたが、彼女の生き方や、常に新しいものを取り入れ、発信し続けていた姿勢には尊敬の念しかありません。

現在は一般人として静かに暮らしていらっしゃるのでしょうし、彼女の現役時代の、ある種「筋を通した」ような生き方から見ると、一度きっぱり引退をしてまた現役復帰することはおそらくないだろう、とも思うのですが、それでも1990年代からの日本の音楽シーンを常にリードしていた安室奈美恵という1人のアーティストがいたことは今後も消えることのない「歴史」として残るでしょう。

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