音楽記号「フェルマータ」の意味をご紹介!「程よく伸ばす」とはどのくらいの長さ?
フレーズの終わりなどで目にする音楽記号フェルマータ。ピアノや楽器を習っているとフェルマータってどのくらい伸ばすんだろうと疑問に思う方もいますよね。今回の記事ではフェルマータの意味や語源から、書き方の意味、大体どの程度伸ばすのが良いのかをご紹介致します。
音楽記号「フェルマータ」の意味とは?
クラシック音楽の楽譜でよく目にする「フェルマータ」。この音楽記号「フェルマータ」の意味と語源を紐解いていきましょう。
フェルマータの意味は「音符や休符を程よく伸ばすこと」です。ピアノなどの楽器を習っていたり勉強していたりすると、先生からこのように教わったという方もいると思います。
ここからはフェルマータの意味の歴史をご紹介したいと思います。フェルマータはバロック音楽、古典派、ロマン派、それ以降の音楽で意味が変化していきました。
バロック音楽では、作品の終わりの音であっても、その音符に付いたフェルマータに音を伸ばすということを意味する記号ではありませんでした。
1730年代〜1820年代モーツァルトやベートーベンらが活躍した古典派音楽では、どんな場面であっても、フェルマータが付いた音符や休符で音楽の流れを停止させること、音符や休符の長さを明確に延長させるという意図で使用されていました。
19世紀ヨーロッパを中心としたロマン派音楽ではフェルマータと共に"lungo(長く)"や"poco(少し)"という各国のコメントが添えられ使用されていました。現在の日本の音楽教育では文部科学省の定める標準に、フェルマータが付けられた音符の2倍の長さに延ばすと教えられています。
フェルマータの意味は段々と変化していき、そのうち終わりを示すという事だけではなく、音を強調したい時に長く伸ばすという事で情感を含ませるという意味にもなっていきました。フェルマータはクラシック音楽において、曲を表現するにおいて大切な要素となっていったんですね。
フェルマータの語源
フェルマータはイタリア語のFermare(フェルマーレ)が語源とされています。この語源であるFermare(フェルマーレ)は動いているものを停止させるという意味があります。動詞として使われていたフェルマーレから徐々に転じてフェルマータという名詞になっていきました。
イタリアでは実際にバス停の標識などでフェルマータ(FERMATA)の表示があります。フェルマータは元々終わりや伸ばすという意味ではなく、停止するという意味で使われていたんですね。
そしてイタリアではフェルマータの記号をコロナ(冠)と呼んでいます。記号が冠の形に似ているのでこう呼ばれているそうです。
フェルマータは初めは曲の終わりや作品の一場面の終わり、フレーズの終わりに付けられていて、単に「終わり」を意味していた記号と言われています。この終わりを意味することから、フェルマータのマークは1日の終わりの日が沈む様子を表しているデザインだという一節もあります。
「程よく伸ばす」とはどのくらいの長さなのか?
フェルマータは程よく伸ばすという意味ですが大体どのくらい伸ばすんだろうと疑問に思いますよね。フェルマータはどれくらい伸ばすのか、どれくらい止まるのかという正解がない記号です。現在ではフェルマータがついてある音符の長さの2倍〜3倍伸ばすというのが一般的だと言われています。
実際はフェルマータは明確に定義をされていない記号なのでどのくらい伸ばすのかは人それぞれで自由です。
演奏者の解釈によって自由に伸ばしていいと言われていますが、あまりに長く伸ばし過ぎたり、短過ぎたりすると曲のイメージに合っていないとされてしまいますね。
自由となっていたり長過ぎても短過ぎても良くない…どうすれば?!という方は、フェルマータに慣れてくるまで2倍伸ばしてみるのがおすすめです。
慣れてきたらその曲のイメージ合わせた伸ばし方をして、厚みを持たせるか軽快さを出すのかという判断をします。そして次のフレーズに行く時に気持ちが切り替わるように演奏をする事が好ましいとされています。
頭の中で「1、2…」とカウントすると機械的だったり不自然な音楽の流れになるので、フェルマータの付いた音符自体を1つの流れと感じて弾いてみると効果的かと思います。
まとめ
音楽記号フェルマータについての意味や語源、伸ばす長さについての記事でした。
フェルマータについて理解をすると曲がもっと魅力的なものに変化していきます。音の静けさや余韻を意識してみると、カッコいい演奏に繋がると思います…!
色々な曲を弾いてフェルマータの長さをイメージしてみるのもおすすめです。