音名と階名の違いって?それぞれ意味も合わせてわかりやすくご紹介
多くの人が音の名前を「ド、レ、ミ…」と覚えると思います。この「ドレミ」は「階名」として用いられれる事が多い音の名前で、その場合「ド」は特定の音を指しません。特定の音を指す場合、「音名」と言う考え方を用います。この記事では混乱しがちな音名と階名を整理します。
記事の目次
音名と階名の違いって?
多くの場合、日本では初期段階で音を表す名前を表すのに「ド、レ、ミ……」という名前を使います。そして、段階が上がるといままでドだった音が実は「ハ長調のド」であったと教わり、「ト長調」が導入されるといままで「ソ」だと思っていた音が「ト長調のド」であると教わります。はじめは特定の高さの音とその名前は1対1で対応すると理解するのが普通ですから、「ド」が1つでないとなると混乱を招きます。初級段階で躓くことが多いポイントです。
また、クラシック音楽では先ほど挙げた「ハ長調」、「ト長調」のように日本語の「ハ、ニ、ホ、ヘ……」や、ドイツ語の「C(ツェー)」、「C(デー)」という音の名前を聞きますし、ロックやジャズの世界では英語の「C(シー)」、「D(ディー)」という呼び方を耳にします。
このように、音を表す名前は1つではなく、また、音の名前には音を絶対的にに捉えるか相対的に捉えるかによって呼び名が変わってきます。前者の、音の絶対的な表し方を「音名(おんめい)」、相対的な表し方を「階名(かいめい)」と呼びます。
音名とは
音名とは、絶対的な音の高さを表す用語です。絶対的というのは、ある音の高さに対して1つの音名が対応しているということで、調号(ハ長調やト長調)が変わっても名前が変わりません。日本では、
- 日本語音名「ハ・ニ・ホ・ヘ・ト・イ」
- ドイツ語音名「C(ツェー)・D(デー)・E(エー)・F(エフ)・G(ゲー)・A(アー)・H(ハー)」
- 英語音名「C(シー)・D(ディー)・E(イー)・F(エフ)・G(ジー)・A(エー)・B(ビー)」
吹奏楽部あるある
日本の若い人たちでこの音名の重要性に早く触れるのは多くの場合吹奏楽部員の生徒たちでしょう。各楽器の担当者が「ド、レ、ミ……」と練習をしてきて、さて、トランペットとアルトサックスで「ド」の音を出してみましょう、となると音が合いません。これは、それぞれの楽器の調が異なる(移調楽器)からです。トランペットで吹いている「ド」は音名「B♭」で、アルトサックスで吹いている「ド」は音名「E♭」だからです。
これらの楽器で共通の音を吹くために、絶対的な音の高さを表す音名を用います。「C」(トランペットの「レ」、アルトサックスの「ラ」)を吹こうと言えば間違いなく同じ高さの音を吹くことができます。
また、チューニングをするとき、吹奏楽部では多く「B♭」で音をあわせますが、このときトランペットやクラリネットは「ド」、フレンチホルンは「ファ」、アルトサックスは「ソ」を吹くことになります。
階名とは
階名とはある調号(ハ長調やト長調……)の主音(第1音)に対する高さを表すときに使う用語なので、相対的な音の高さを表すと説明されます。つまり、拡張の主音を「ド」とし、2度上の音は「レ」、3度上の音は「ミ」と言う風に音を割り当てていくわけです。
調に依存する音の表し方なので、移調(ハ長調をト長調に移す)をすれば同じ音の高さでも名前が違ってきます。これが冒頭で紹介した「移動するド」の正体です。
日本ではおなじみの「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」が用いられることが多いです。
シ♭はドーナツのド
子どもたちが「ドレミ」に触れる曲として知られているのが映画「サウンド・オブ・ミュージック」の中で歌われる「ドレミの歌」です。ところで、ドレミの歌のキー(=調号)は劇中ではB♭です。つまり、マリアが「ド」と歌っているのはB♭(変ロ長調)の階名「ド」であり、音名ではB♭、つまりシのフラットだったのです。
音階名とは
音階(スケール)とは、ある特定の音から音を規則的に並べたものです。地域やジャンルによって様々な音階があります。ここでは、最も一般的な長音階と短音階について紹介します。いずれの音階にも音名がついています。
長音階
英語でメジャースケールとも呼ばれます。その調のド(つまり階名の「ド」)から1オクターブ上のドまで、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド(音の間隔が[全音*・全音・半音・全音・全音・全音・半音])の順に音が並んでいます。
*全音:半音二つ分
開始する音名によって音階の名前が変わります。ハ長調(Cメジャースケール)からイ長調(Bメジャースケール)まで12の長音階があります。
短音階
英語でマイナースケールとも呼ばれます。より厳密に言うと自然的短音階(ナチュラル・マイナースケール)といいます。その調のラから1オクターブ上のラまでラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ(音の間隔が[全音・全音・半音・全音・半音・全音・全音])の順に音が並んでいます。
開始する音名によって音階の名前が変わります。イ短調(Aマイナースケール)から変イ長調(A♭マイナースケール)まで12の長音階があります。
まとめ
音名と階名、そして音階の名前について整理をしました。最後に音名と階名についてポイントをまとめます。
音名
特定の高さの音につけられた絶対的な音の表し方。調号が変わっても動かない。
階名
ある音を基準にして順次与えられる相対的な音の表し方。調号が変わると動く。